かつて、一部のアナリストやIT専門家が一時的な流行りものと考えていた、クラウドコンピューティングは世界中の多くの企業にとって戦略的に優先度の高いものになった。クラウドコンピューティングは、もはや未来の有望な技術ではなく、今日の重要な技術であることが、この6ヶ月間に公開された様々な研究によって証明されている。最近発行された 研究 (登録が必要である)、IBMが世界中の3000人以上のCIOとのインタビューをベースにしたものでは、過去2年間でクラウドコンピューティングは、企業における優先順位において、著しく伸びたことを示している。クラウドコンピューティングは、2009年の優先順位では33%と非常に低かったが、60%まで伸びた。以下のチャートで見られるように、この値は Business Process Management(ビジネスプロセス管理)と同じで、 Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)、Mobility Solutions(モバイル ソリューション)、Virtualization(仮想化)とそれほど差がない。
クラウドを採用する際、最初にお薦めの方法は、それほど重要でない計算雑務をクラウドに移し、内部のリソースを「組織にとってもっとも重要な仕事をこなす」ことに振り向けることである。
1535人のCIOを調査し、 CIO Magazine によって発行された2011年の研究 にコメントして、 IDG Enterpriseの社長で CEOである Michael Friedenberg氏は「クラウドコンピューティングは実際に使われており、至る所でその採用が始まっている。少なくともある程度は」と語っている。研究の結果を引用して更に言っている。
企業はプライベートクラウドを多く使っている。23%がプライベートクラウドで、7%がパブリッククラウドだ。
小から中規模のビジネスは相当なIT予算をクラウドに使っており、1000人以下の会社では平均20%を使っている。より大きな企業では、IT予算の15%をクラウドに使っている。
クラウドベースのサービスへの予算は増えており、大企業では、クラウド専用の予算はこれから先12ヶ月で67%増加すると予想される。平均で、大企業は今年220万ドルクラウドに使う予定である。
IT業界の非営利団体である CompTIAのSecond Annual Government IT Purchase Plans 研究によると、米国政府機関は「もっと効率的で、長期的なコスト削減」に最大の関心があるが、クラウドコンピューティングは「少々低い優先度」に置いている、と結論づけている。
連邦、州、地方政府のITの決定者や影響力のある人々の約4割(39%)は、今後12ヶ月の最高の優先順位にあるのは新しいデータバックアップと復元ソリューションである、と言っている。回答者の37%はセキュリティアプリケーションをあげており、次に仮想化ソリューション(30%)、コンテンツ管理ソリューション(24%) が続く。統一された通信網やクラウドコンピューティング(それぞれ18%)のような選択肢は少しばかり低い順位にある。
優先順位18%のクラウドコンピューティングは政府機関では、ビジネス(IBMの研究では60%)におけるほど重要ではなさそうであるが、おそらく「バックアップと復元」や「仮想化ソリューション」の一部に何らかの手段としてクラウドを含んでいるのだろう。
クラウドコンピューティングの実現性には疑いがあったが、今ではこの技術は明らかに現実のものである。この言葉の意味を議論する人がいたり、セキュリティ上の心配があったり、最近の Amazon EC2の停止によって疑う人がいるかも知れないが、その便益はそのような疑念を上回っており、多くの企業にとってクラウドコンピューティングは魅力的なソリューションになっている。