Microsoft が Windows Phone の次期バージョン Mango を発表した。ハードウェアアクセラレーションを備えたモバイル用 IE ，マルチタスキング，統合化されたコミュニケーション機能，Sliverlight 4 と XNA のサポート，センサの追加，VB.NET のサポートなど，過剰なほどの新機能を備えたこのモバイル OS で競合他社のキャッチアップを目指す。
Microsoft は 5月24日，Windows Phone 7.1 (WP) – コードネーム "Mango” を，ニューヨークおよび世界各地で行われた記者会見で発表した。副社長(VP)の Joe Belfiore 氏が，WP で同社の追求する ３つの主要な方向性 について述べている。
- ブラウザを凌駕する Web エクスペリエンス。Mango はハードウェアアクセラレーションを備えた Trident 5.0 エンジンを搭載し，その上に IE9 が構築されている。Belfiore 氏は Mango フォンを用いて，Microsoft の Speed Reading テストが 24 FPS で実行されるデモを披露した。iPhone はわずか 2FPS，Android フォンは 20 FPS だった。
Local Scout はブラウジングを越えるアプリケーションの一例で，ユーザのいる場所を基準として，レストランやショッピングの場所，アクティビティを自動的に紹介するものだ。
もうひとつの例である Bing Vision は，ユーザが撮影した写真から本を認識して，それを販売する Web サイトを検索し，ワンクリックでその本を購入する手段を提供する，という一連の操作を，合理的なインターフェースで提供するアプリケーションだ。 - アプリケーションへのスマートアプローチ。マルチタスキング機能により，実行中のアプリケーションやゲームを中断して他のアプリに切り替えたり，最初のアプリに戻って中断した部分から再開したりすることができる。バックグラウンドでのアプリ実行も可能だ。
- コミュニケーション機能。Outlook 電子メールクライアントが標準搭載されている。
また人々のグループを定義して，いくつかのソーシャルウェブサイト上での彼らのアクティビティを，それらのサイトを訪れることなくチェックできる。
さらに新機能の スレッド によって，複数の異なるネットワーク (メッセンジャ PC，XBox，Facebook，SMS) 上のコミュニケーションを，ひとつのインターフェースに統合することが可能である。誰かと通信するために，ネットワークを切り替える必要はない。
Microsoft は Mango の持つ 500 の新機能 を誇示している。その中で重要なものを簡単にまとめると，
- Silverlight 4 サポート
- IE9 Web ブラウザコントロール
- ライブタイルの拡張 – タイルのバックの利用，ライブタイルのローカル更新機能
- 通知やライブタイルからアプリへのディープリンク
- センサの追加 – カメラへのダイレクトアクセス，コンパス，ジャイロ
- ネットワーク – ソケット通信
- 構造化ストレージとしてローカル SQL データベースを採用
- アプリからカレンダおよび連絡先へのアクセス
開発者は Windows Phone Developer Tools 7.1 ベータ版 を使って，WP7 および Mango 用アプリケーションを開発できる。これには新しいプロファイリングツール，ロケーションと加速度のシミュレーションを備えたエミュレータ，Silverlight と XNA コネクトを同一アプリでサポートできる新しいテンプレートが用意されている。WP 7.1 開発用の言語としては Visual Basic がサポートされる。
Mango の持つ問題のひとつは，Flash がサポートされていないことだ。将来的なサポート予定も明確ではない。Tim Anderson 氏が，この件について Microsoft の担当者に質問したときの様子を 報告している。
Watson 氏は “このデバイスでは動作しません" と言いました。その後でも "このデバイスでは動作しません" と言い，最後にまた "このデバイスでは動作しません" と言ったのです。
Microsoft は新 WP フォンの市場投入に関して，現時点までに Acer，Fujitsu，ZTE の各社と提携している。Nokia は依然として WP の主要な製造企業だが，現在の開発状況については不明である。確認されているのは，予定では年内の１機種だけだ。Mango はこの8月，すべての WP7 ユーザに無償で提供される予定である。