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アジャイルの性格型はあるか

原文(投稿日:2011/04/25)へのリンク

アジャイルチームへの性格の影響について、学者や実務家の中で多くの研究がされてきた。さまざまな論者が“アジャイルの性格型はあるか”という問いを多様な形で表明している。”場合によりけり”というのが共通する答えのようだが、アジャイルの手法に親近感を示す重要な性格があるようだ。

 

3月、アジャイルジャーナルにMario Moreira氏によるある記事が乗った。このアジャイル性格タイプと題された 記事で、氏はチームのメンバをアジャイルに対する経験と態度に基づいて7つに分類し、  この分類を下記のマトリクスで表している。

Agile personality types matrix

 

画像の元: http://www.agilejournal.com/images/stories/article_pics_2011/mm0311-1.jpg

氏はこの7つの性格を下記のように説明する。

革新者
アジャイルの革新者はアジャイルの活動領域内では少数はで、この分野で豊富な経験があり、アジャイルに対してとても積極的です。アジャイルの革新者は典型的にはアジャイル産業のリーダーであり、アジャイルの手法や実践、技術を改善し促進することに熱心な人です。
擁護者
アジャイルの擁護者はアジャイルについて知りたがり、組織の中でアジャイルを積極的に推進しようとします。ここに分類されるのは、アジャイルコーチや、コンサルタント、プロダクトマネージャ、エンジニアリングや開発のトップ、品質保証担当、プロジェクトマネージャです。彼らも少数ですが、アジャイルコミュニティでは中核を占めリーダシップを握っています。また、アジャイルやアジャイルを導入することの真の意味を理解しています。 働き者
働き者は誰かに助けられながらも自分のチームでアジャイルを実践しようとすることで、アジャイルについて学べます。アジャイルに対しては最も積極的ですが、何がうまくいき、何がうまくいかないのかについてはとても正直です。ここには一般的にはアジャイルを実践しているアジャイルチームのメンバが分類されます。
楽隊車
楽隊車に集まる群衆はアジャイルの楽隊車に乗ることで得られる利益を見ています。多くの組織は流行に支配されるので、アジャイルが"ホット"だと思ったら、この楽隊車に乗ろうとする人が出現します。この群衆はアジャイルを経験していないが、自分のイメージや経歴に役に立つのなら、次第に積極的になります。
カウボーイ
カウボーイはアジャイルを文書化や作業の放棄と見なして、西部の生活を楽しみます。彼らはアジャイルに対して否定的な態度を撮る必要はありません。多くの場合、自分の上司である楽隊車に乗った人たちがアジャイルの真の姿を知らないので、アジャイルしているふりをするだけで済むのです。アジャイルは野蛮なコーダーのための規律のない手法だという神話を広めているのは、このカウボーイたちなのです。
詐欺師
詐欺師は表面的にはアジャイルするのに賛成しますが、実際は、黙って無視したり、アジャイルを非難するためにプロジェクトをさぼったりします。詐欺師は常にアジャイルに否定的です。従来の手法や手法を使わないでも成功してきたからであり、アジャイルが自分たちの働き方に影響を与えると思っているからです。
否定者
否定者はアジャイルの利点を徹底的に否定します。アジャイルへ移行へも興味を示しません。始めからアジャイルに対立します。会社内での現在の成功した地位を失うのではないかと考えているからです。プロジェクトで過度に限定的な役割しか果たさず、それに応じた報酬しか受け取ってこなかった人が否定者になる場合があります。

氏はチームの中で異なる性格タイプの人と上手く仕事をする(上手く対処する)ためのアドバイスをして、“アジャイルを導入することは文化面での変化を暗示する一方で、アジャイルコミュニティはアジャイルの強みと弱みを伝え続けなければなりません。一緒に働いている人を知り、その人のアジャイル性格タイプを知ることで、彼らの長所を利用し困難を克服してより出来の良いアジャイルを実践できるようになります。”と結んだ。

性格とタイプについての異なる見方

Richard Banks氏は“性格タイプとアジャイル開発”と題した記事を書いた。この記事で氏は、DSPA (推進者、促進者、支援者、管理者)とマイヤーズ・ブリッグズ・タイプ指標(MBTI)の両方を論じ、アジャイルチームでの作業を関連づけた。
氏はDSPAタイプを下記のように定義する。

D - 推進者: 決定的かつ直接的。推進者は成功を勝ち取るための役割を果たす。
P - 促進者: 社交的かつ楽観的。促進者は他者に影響を与え、行動へと駆り立てたてようとする。
S - 支援者: 同情的かつ世話好き。支援者は他者を助け、対立を解消したいと思っている。
A - 管理者: 厳格かつ控えめ。管理者は正しく仕事を進め、細部に気を配ろうとする。
 

氏はさらにマイヤーズ・ブリックス性格タイプを下記のようにまとめる。

  • 外向性 - 内向性
  • 検知 - 直感
  • 思考 - 感覚
  • 裁定 - 知覚
    • 最初の基準である外向性 - 内向性は表現のためのエネルギーの源泉と方向を定義する。外交的な人のエネルギーの源泉と表現は主に外界に向かう一方、内向的な人は内部の世界にエネルギー表現を向ける。
    • 検知 - 直感は情報を認知する方法を定義する。外界から直接情報を受容していると思っている人が検知タイプであり、内部や想像上の世界から情報を受容していると考えるのが直感型のタイプの人だ。
    • 思考 - 感覚は情報の処理方法を示す。思考とは論理的に考えて決定を下すことだ。感覚とは、感情に従って決定を下すことだ。
    • 4番目の裁定 - 知覚は処理した情報を基にした行動に仕方を定義する。人生のすべての出来事と行動を厳密に計画通りに行うのが裁定タイプの人で、行き当たりばったりで代替案を探す人は、知覚型の人間だ。

この記事では氏は、結論を述べていない。しかし、読者に自身のMBTIとDSPAやアジャイルチームで働くときの気持ちについてフィードバックを求めている。
この呼びかけに応じてたくさんのフィードバックが集まった。内容はSteve Horn氏がまとめている。

性格の違いがチーム全体を構成するということを確認する必要があります。大半の人が'アジャイルに最適な'性格である場合よりも、すべての性格タイプの人が何らかの影響を生み出すことでチームをより良くします。

MBTIの16の性格タイプの高度な説明はここで読める。

ノルウェイで開催されたXP2010カンファレンスではOmar Mazni氏、Syed-Abdullah Sharifah-Lailee氏、Yasin Azman氏がエクストリームプログラミングを実施するとき、性格タイプがチームの成果に与える影響について(マイヤーズ・ブリッグズを使って)説明するペーパーを発表した。  彼らはこの研究で下記のように結論づけている。

この研究によって性格タイプが適切に組み合わされるとチームの成果に良い影響があることが分かりました。

Lucas Layman氏、Travis Cornwell氏、Laurie Williams氏はノースカロライナ州立大学でソフトウエア工学コースを計画したとき、マイヤーズ・ブリッグズ性格タイプとフィルダー-シルバーマン学習スタイルについて調査した。調査の結果は下記のようになった。

研究と講義の組み合わせ、アジャイルのプロセスモデルの利用、生徒のタイプの違いを学習する必要があることに気付けたことは、より質の高い学習環境の確立に役立ちました。様々な性格タイプや学習スタイルの人にとって魅力的なコースを設立するkとで多くの学生にとって優れた学習環境が提供できると思います。

"アジャイル性格タイプ"存在するのか。存在するなら重要な性格は何なのか。

 

Shane Hastie氏 はSoftware Education in Australia & New Zealandで働くアジャイルコーチ、トレーナー、コンサルタント。

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