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アーンドバリュー (Earned Value) はアジャイルメソッドを活用できるか

原文(投稿日:2011/06/17)へのリンク

アーンドバリュー・マネージメント(Earned Value Management / EVM) の価値と,それをアジャイルに統合することに関して,激しい議論が巻き起こっている。アジャイルが EVM を必要とするほど大規模な IT プロジェクトに進出し始めたことがその原因だ。意見はさまざまだが,単にアジャイルが EVM に適用可能であるというだけではなく,アジャイルを適用した EVM がそうでないものより優れている,という考えもある。

Glen Alleman 氏は EVM の基本について,"アーンドバリューとは,計画上の完成パーセントに対する物理的な完了パーセンテージによって進捗を計測するものだ" と説明している。Defense Acquisition University (防衛大学) の Gold Card は,将来的な調整への入力として,EVM が現時点での相違を表す様子の視覚化サンプルを提供するものだ (EVM という用語が従来的な意味で使用されていることに注意)。

  • コストの相違は,計画予算コスト(Budgeted Cost for Work Performed/BCWP) – アーンドバリュー(Earned Value/EV)という新用語で呼ばれることがあります – と,実際発生コスト(Actual Cost for Work Performed/ACWP) との差異を示しています。この例では,プロジェクトは現時点で予算をオーバーしています。
  • スケジュールの差異は,計画予算コスト(Budgeted Cost for Work Scheduled/BCWS) と,ほぼ同じスケジュール達成状態を金額で表現した BCWP との差異を示しています。この例ではプロジェクトは現在,計画より遅延しています。
     

 

2011 年 5 月に Dr. Dobb's サイトにポストされた Agile and EVM Strategies (アジャイルと EVM 戦略) というタイトルのブログポストで,筆者の Scott Ambler 氏は EVM がアジャイルプロジェクトに適用可能であることを認めながらも,アジャイルとは関係ない部分で EVM の IT 開発プロジェクトへの価値に疑問を呈している。

EVM の根本的な問題は,それが価値の獲得 (earn) にはほとんど役に立たず,プロジェクトのあまりにも初期に誓約された,浅はかで非現実的であることが証明済みのスケジュールや見積について,それを何とかするためにすべての努力が払われている,という点にあります。EVM は興味深いプロジェクト管理理論であり,非 IT のドメインのいくつかで有効であることに疑いはありません。しかし IT 開発プロジェクトで実践するには,確実に悪いプロジェクト管理戦略であることもまた明らかなのです。

EVM がアジャイルプロジェクトに適用可能なのは事実ですが,私の意見として EVM は,そのパラダイムに関わらず,疑問の多いプラクティスなのです。IT プロジェクトチームの管理を試みる組織には,正確かつ適時な情報を提供できる方法でチームを監視することが必要です。EVM は明らかにこの条件に当てはまりません。

違う見方もある。Glen Alleman 氏は同氏に対して返答のポストを書いている が,個人的なEメール交換においても EV とアジャイルの共生関係について意見を述べている。

EV とアジャイルは共生関係にあります。EV は資金提供者にとって意味のある単位,すなわち金額で完成予測を行うことができます。アジャイルは要求の変化に比較的容易に対応することができます。これはユーザと開発チーム (ひとつのチームです) との関係を基礎とするものです。仮に数千の要求事項や複雑なアーキテクチャ (有人宇宙飛行の誘導に関する ERP のような),複数の資金源,関係の断たれた顧客 (私たちがフェニックス,ユーザがヒューストンにいて,月1回のミーティングを行うといった状況),その他数知れない "障害" があったとしても,アジャイルはソフトウェア開発レベルでの価値を提供して,EV は他の人々の資金を費やす上で "統治" プロセスのひとつになるのです。資金の管理者あるいは株主の立場ですね。

先日まで米国連邦政府の PMO (Project Management Office) アドバイザであった Derek Huether 氏は一歩進んで,アジャイルのアプローチが EVM を改善する方法に言及している。"もしベンダが短いイテレーションでの顧客への価値提供を強要されているのならば,コストパフォーマンス指数 (Cost Performance Index/CPI) やスケジュールパフォーマンス指数 (Schedule Performance Index/SPI) といったたぐいの操作を適用する機会は少なくなるでしょう。"

Center for Program Transformation (プログラムトランスフォーメーションセンタ) の Norm Brown 博士は,アジャイルがEVM をさらに強固に改良する,という点に賛同している。"プログラムにアジャイル技法が適用されることにより,EVM は非常に効率的なものとなります。"

契約上の理由から EVM の要請を順守するように強制されているものにとって,これは思想的な議論ではなく,実務上の問題なのだ。幸運にも Web には無償で高品質な EVM の情報がある。下のリストに示したいくつかのリソースを利用すれば,知識に基づいた決定を下すことが可能になるだろう。

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