.NET 4の累積パッケージが6月11日に公開された。このパッケージには、たくさんの修正と機能追加が含まれている。これらの多くは以前に個別の修正として公開されたものだ。また、HTML 5と移植可能なライブラリのサポートも含まれている。参考までに、下記に技術別の修正をまとめた。ファイルのバージョンを含む完璧な一覧についてはKB 2468871を参照のこと。
全般
- 3MB以上のファイルを添付したメール送信が失敗する。
WPF
- コントロールにバインドされたオブジェクトがそのコントロールの名前のスコープ外に定義されている場合、WPFアプリケーションがクラッシュする。
- マウスポインタから遠く離れた場所でショートカットメニューが表示される場合がある。
- .ttfファイルからテキストを読み込むとき、表示が不正になる。さらに、アクセス違反が発生してアプリケーションがクラッシュする。
- マルチタッチスクリーンを操作するとアプリケーションがクラッシュする場合がある。また、.vshost.exeプロセスがクラッシュする場合もある。例えば、スクロールを手で行うとクラッシュする。
- .NET Framework 4で作ったWPFアプリケーションをスクロールすると、タブ内のテキストが整列するが、アプリケーションの動作が遅くなる。
Visual Studio
- MSB4014: 内部エラーでビルドが停止する。
- バックグラウンドでアドインがプロジェクトを列挙するときVisual Studio 2010がクラッシュすることがある。
- スリープモードから再開するとメモリがリークする。
- Visual Studio 2010の保留中の変更ウィンドウの複数の項目が選択しようとすると、Visual Studioが消えてDr.ワトソンエラーも表示されない。
- Microsoft Visual C#またはMicrosoft Visual Basicアプリケーションを実行しようとすると、エンティティデータモデル(EDM)がデータベースプロジェクトを参照しているときアプリケーションが実行されない。さらにアプリケーションのデバッグ機能が動かない。
- Visual Studio 2010のCassiniから.xapファイルをリクエストすると、レスポンンスのMIMEタイプが"application/x-silverlight-app."ではなく"application/octet-stream"になる。
- Visual Studio 2010では、デバッガをsqlservr.exeにアタッチできる。マネージドSQLファンクションやマネージドストアドプロシージャにブレークポイントを設定できる。シンボルファイルも正しくロードできるし、赤いポイントも出現するが、ブレークポイントで停止しない。
Visual Basic
- Visual BasicのプロジェクトではMy名前空間が利用できる。Microsoft.VisualBasic.dllの参照を明示的に追加すると、My名前空間が上手く動作しない。
- Visual BasicのランタイムがないOS上でVisual Basic Coreアセンブリを含むVisual Basicアプリケーションを実行すると、そのアプリケーションにオブジェクト型の変数にSyncLock文を適用している場合、次のようなエラーメッセージを受け取る。"ランタイム ライブラリ関数 'Microsoft.VisualBasic.CompilerServices.ObjectFlowControl.CheckForSyncLockOnValueType' が定義されていないため、要求された操作は利用できません。"
ASP.NET
- ターゲットフレームワーク属性にServer Core上の.NET Frameworkが指定してあるウェブページをホストすると、パーサーのエラーメッセージを受け取る。
- ASP.NETパイプラインと拡張子なしのURLハンドリングを使った.asmxファイルと.svcファイルに定義してあるRESTfulサービスがリクエストされると、リクエストの状態が不正に変更される。
- .NET Framework 4はApplication_StartとPreAppStartメソッドはHttpUtility.HtmlEncodeメソッドとその関連するAPIにアクセスしない。
- SQLプロバイダを使っているとき、ガベージコレクションスレッドから例外が発生する。
- ASP.NETウェブページを実行しようとすると次のエラーメッセージを受け取る。"HttpContext.Userは MyWindowsPrincipalであると見なされます。"
- あるコンピューター上で Web アプリケーションをビルドし、別のコンピューター上でそのアプリケーションを公開する。このとき、Visual Studio 2010 を使用してアプリケーションをアタッチすると、アセンブリのシンボルが見つからないため、マネージ メソッドを表示できない。
- Plan 9 MVC と呼ばれる簡素化された Web アプリケーション パラダイムは、ASP.NET よりも頻繁にリリースされる。ただし、バージョン 2 より、バージョンは完全信頼としては設定されていない。そのため、完全信頼を必要とする多くの機能は、正常に動作することができない。
New Features
- ASP.NETは、デザインモードで複数の IIS 構成システムをサポートできるようになる。よって、Visual Studio Web デザイナは、複数のVisual Studio ソリューションプロジェクトで、複数のバージョンのIISをターゲットにできる。
- 同じファイルへのシンボリックリンクに変換されたシャドウキャッシュアセンブリを検証する場合、アセンブリのサイズは確認しない。このため、ASP.NET では共有 Web ホスティングの最適化を使用する。
- 新しい構文では、HTML5互換であるTextBoxコントロールを定義できる。たとえば、次のコードで、HTML5 互換であるTextBoxコントロールが定義できる。<asp:TextBox runat="server" type="some-HTML5-type" />
- VisualBasicコンパイラには、HTML5 対応の要素の出力をサーバーで制御できるようにする、新しいスイッチが追加される。例えば、<asp:TextBox runat="server" type="some-HTML5-type" />
- 以前のバージョンの.NET Frameworkでは、すべてのVisual Basic アプリケーションには、自動的にランタイムの依存関係が追加された。この依存関係は、Visual BasicランタイムライブラリファイルであるMicrosoft.VisualBasic.dllとの依存関係だ。この更新プログラムを使用すると、コマンド ライン オプションを設定して、この依存関係を除去できる。Visual Basic ランタイムでは、アプリケーションに埋め込まれている機能もあれば、このスイッチを設定すると使用できなくなる機能もある。
- 移植可能なライブラリをサポートするために変更。この変更には、APIの更新とバインダーの変更が含まれる。この更新プログラムを適用すると、.NET Framework 4、Silverlight、Xbox、または Windows Phone上で1つのDLLを実行できるように、CLRは移植可能なライブラリに正常にバインドできる。この更新プログラムにより、パブリックSilverlight APIが、同じ場所の .NET Framework 4に追加される。APIの署名は、プラットフォーム間で一貫性が維持される。すべての変更点は100% 互換で、既存のコードに反することはない。
- この更新プログラムにより、移植性ファイルのサポートが拡張され、Silverlight 5 XAML ファイルをコンパイルする。