SOA Software は,API 管理プラットフォーム Atmosphere をローンチした。企業が API を管理・監視して,ユーザと開発者に対して安全に公開するためのものだ。SOA Software は,エンタープライズ SOA とクラウドサービスのガバナンスを扱う既存のベンダだが,同じ週に Layer 7 という企業として,自社の API ソリューションを同時発表している。この一致は今回限りのものではなく,2つのベンダとして着実に自分たちの SOA 基盤を構築する,という意味での進化とも言える。
SOA Software の CTO である Alistair Faquharson 氏は SOA に関して,やっかいな問題 (elephant in the room) ではあるが,API 管理ソリューションを成功させるためには必要な基盤だという認識を持っている。
API が収益創出と流通ルート生成に注力するものであるのに対して,SOA のコスト削減と再利用に関する手段は (具体性に乏しい) メッセージのみです。しかしながらこの2つは,互いに排他的な存在という訳ではありません – API が SOA の向上に役立つと同じように,渾然一体となり得るのです。ビジネスの目標を達成する,企業戦略を支援する,という SOA の目標を,API がより明確なものにするのです。
私たちが突然 API 管理の分野に参入し,これまでとは違うモデルを選択したことに対して,過激なビジネス変更をしていると思われるかも知れません。しかし私たちが新旧の手法を組み合わせることをせず,他ならぬ新企業の設立という方法を選択したことには理由があるのです – それは,SOA が私たちとユーザに対して,API 管理のための堅牢なバックボーンを提供してくれる,という考えがあるからです。私たちはそれを証明したいと思っています。
今回の新 API 管理ポータルと,同社がすでに提供しているクローズドループガバナンス・ソリューションの比較に関する InfoQ の質問に対して,同社製品管理担当の Ian GoldSmith 氏は次のように返答した。
クローズドループガバナンスは通常,サービスの構築プロセス,内部 SOA の主体としての企業内ユーザ,この2つに言及するものです。対して API 管理ではイニシアティブを分離したり,あるいは外部向け API に注目して拡張したりすることが可能です。
このような外部向けイニシアティブをサポートする Atomosphere の主要な機能としては,以下のようなものがある。
- API 定義,コンテント,ポリシ,およびライフサイクルの管理。これは内部設計および開発プロセスとの統合において API が正しく構築され,明文化されていることを保証するものだ。
- XML と JSON 両方のコンテントで,多種多様な内部サービスタイプからの RESTful な API 生成を簡略化するための仲介機能。アプリのパフォーマンス向上のために強力なページングおよびキャッシングを備えている。
- 高度なセキュリティ機能。悪用から API を防御するとともに,ユーザデータのプライバシ確保にも有効である。
- 包括的 QoS 管理 (SLA とクォータ)。API のオーバーロードから内部アプリケーションを防御すると同時に,サービスレベルの保証提供にも役立つ。
- 広範囲のユーザ制限モニタ,および個々のアプリからのトラフィック管理機能。
- 高品質の API の提供を簡略化するための,統合されたサンドボックスとテストおよびデバッグ機能。
ところで RESTful API のみがあって,サービス指向 API が言及されていないのはなぜだろう? Ian の回答によれば,
Atmosphere には API エンドポイントを公開しホストするために,強力な仲介機能が含まれています。エンドポイントを http または https を介して SOAP,REST/XML,あるいは REST/JSON の形式で公開して,同じ中の任意のタイプの内部サービスへ,http,https,あるいは JMS トランスポートを通じてルーティングすることが可能です。RESTful な APIの構築を例として用いているのは,内部で SOAP サービスを保持していて,それらを RESTful サービスとして外部へ公開する必要のある組織が数多くあるからです。
Atmosphere は現在,オンプレミス配信モデル,パブリック SaaS モデル,あるいはこの2つをミックスしたハイブリッドなクラウドモデルでも参照可能である。