ソフトウェアアーキテクチャは,ソフトウェア技術者にとって重要なトピックのひとつである。ソフトウェア開発プロジェクトの失敗の大部分が,不適切な設計を原因とするものだからだ。だからアーキテクチャ上の問題の理論と実際について学ぶのは重要なことだ。最近出版された,あるいは近々出版予定の興味深い新書が大いに役立つだろう。
- The Architecture of Open Source Applications (オープンソースアプリケーションのアーキテクチャ) には,Erlang/OTP や Eclipse,Audacity といった,広く知られているオープンソースソリューションのデザインが解説されている。これら成功したシステムの内部構造に関するガイド付きツアーが手に入ることは,ソフトウェア技術者にとって,ベストプラクティスと落とし穴の両方に対する洞察を与えてくれる。本書は印刷された書籍,電子書籍,または オンライン で入手可能だ。
- Architecture Principles: The Cornerstones of Enterprise Architecture (アーキテクチャ原則:エンタープライズアーキテクチャの基礎) は,ソフトウェアアーキテクチャの原則に注目した初めての本だ。著者の Danny Greefhorst 氏と Erik Proper 氏が,なぜこのような原則が重要なのか,それらの実際的な表現を開発プロジェクトに適用するにはどうすればよいのかを,エンタープライズのコンテキストを中心として説明する。
- David C. Hay 氏は自著 Requirements Analysis(要求分析) で,アーキテクトがビジネスの目標をソフトウェアアーキテクチャにマッピングする方法を説明する。それがなぜ技術者に関係があるのだろう? 答えは "ガベージイン・ガベージアウト" である。ビジネスの観点や要件を知らなければ,ソフトウェア技術者は適切なソリューションを提供することはできないのだ。ただし Hay 氏はいくつかのレシピは提供するが,完全な方法論は教えてはくれない。それでもこの本は読む価値がある。
- Paris Avgeriou, Neil B. Harrison, Uwe Zdun, James Noble, そして Ralph Johnson の各氏は Transactions on Pattern Languages of Programming II (ソフトウェアパターンにおけるトランザクション) の共著者だ。この本には PLoP (Pattern Languages of Programming) 会議で発表されたソフトウェアパターンが紹介されている。パターンの作者たちはパターンの専門家たちが "世話" してきたのだから,本書で紹介されるソフトウェアパターンは上質で,一読の価値がある。
最近出版された本は他にもたくさんある。しかし,今度の夏休みに読みたいような本を探しているのなら,上記のリストが役にたつはずだ。連れ合いに知られたくないのなら – 電子書籍として入手できる本もいくつかある。