IBM は先週,2つのマイルストーンを達成した。2011年6月16日(木) に創立100周年を迎えた翌日,Java EE 6 プロファイルすべてを完全にサポートする IBM WebSphere Application Server (WAS) V8 をローンチしたのだ。
- EJB 3.1
- Contexts and Dependency Injection for Java (CDI) 1.0
- Bean Validation 1.0
- JavaServer Faces (JSF) 2.0
- Java Servlet 3.0
- Java Persistence API (JPA) 2.0
- Java API for RESTful Web Services (JAX-RS) 1.1
- Java API for XML-based Web Services (JAX-WS) 2.2
- Enterprise Web Services 1.3 (JSR-109)
- Java Architecture for XML Binding (JAXB) 2.2
Java EE 6 標準に加えて,WebSphere 8 には多数の Feature Pack の内容が統合されている。これまでは WAS V7 上に別途インストールして利用していたものだ。
- OSGi アプリケーション。WebSphere Application Server では数年前から,モジュール方式フレームワークである OSGi を内部的に採用している。WAS V8 では既存のコンポーネントを SCA コンポーネントとして,OSGi アプリケーション間で公開することが可能になった。同じように OSGi と Web アプリケーションを,OSGi バンドルとして WebSphere Application Server 内でデプロイすることもできる。
- Service Component Architecture (SCA) 1.0。オープンソースの Apache Tuscany プロジェクトをベースとする。
- Java Batch。ジョブ定義やジョブ状態,チェックポイント,ジョブの再スタートなどの管理機能を備えたバッチプログラムモデルを,コンテナサービスに統合して提供する。
- Communication Enabled Applications (CEA)。このプログラミングモデルはクリックツーコール (click-to-call) やコール通知 (call notifications),画面共有(cobrowsing) など,通信機能に関するサポートを追加する。
- XML プログラミングモデルの改良。Extensible Stylesheet Language Transformations (XSLT) 2.0 や XML Path Language (XPath) 2.0,XML Query Language (XQuery) 1.0 のサポートなどを含む。また IBM Thin Client for XML により,WebSphere Application Server での XSLT 2.0 や XPath 2.0,XQuery 1.0 クライアントアプリケーションの開発を促進する。
WAS V8 には2つの Feature Pack が用意されている。"Web 2.0 とモバイル (Web 2.0 and mobile)" パックは WAS V7 と 6.1 でも提供されていた Apache Wink と Dojo プロジェクトをベースとする Feature Pack で,WAS のリーチを拡大して,デスクトップからモバイルデバイスまでのアプリケーションをサポートする目的のものだ。Apple の iPad や iPhone のようなスマートフォンとタブレット,Google の Android OS を実行する製品,RIM の Blackberry などのモバイルデバイスを対象とする。もうひとつの "ダイナミックスクリプティング (dynamic scripting)" パックはバージョン8専用で,WebSphere 環境での PHP や Groovy の利用を可能にするものだ。
IBM はプラットフォームのシステム管理面での改善にも,かなり重点を置いている。WAS 8 はこのソフトウェアにおいて,IBM のインストレーションマネージャを実行する最初のバージョンになる。これによって特に,異なったハードウェアプラットフォームのソフトウェアをインストールする必要のある組織での作業簡略化が期待される。インストレーションマネージャは,製品とフィックスパックのインストールおよびアンインストール,フィックスパックの更新とロールバックに関して,単一のインストレーション技術を提供するものだ。特に歓迎されるのは,希望するレベルのサービスパックを1パスでインストールできる機能が追加される点である。これによって最初に GA 製品をインストールして,次の別ステップでフィックスを適用する,という操作が不要になる。
WAS V8 には,V7 のサービス期間中に提供された Application Migration Tool (AMT) が同梱されている。AMT はソースコードを解析して,マイグレーション上の潜在的な問題を検出するツールだ。
WebSphere は,Oracle の GlassFish Open Source Edition 3.x 以降,TmaxSoft の JEUS 7 に続いて,Java EE 6 プロファイル完全準拠の認定を受けた3番目のアプリケーションである。同 Web プロファイルに対して認定された製品としては JBoss Application Server 6.0 や Caucho Resin 4.0,GlassFish Open Source Edition 3.x Web Profile などがある。
WebSphere 8 リリースに関する詳細な情報はこちらで確認することができる。