HP は７月１日，webOS 3.0 ベースの TouchPad をローンチした。webOS 3.0 は WebKit ブラウザ上で動作する web アプリケーションを生成する，まったく新しいアプリケーションフレームワークを備えている。
HP が７月１日，HP TouchPad でタブレット市場に参入した。そのオペレーティングシステムである Linux ベースの webOS 込みで Palm を買収してから１年後になる。同時に TouchPad 用アプリケーション開発に興味を持つ開発者用のツールセットとして，webOS SDK と PDK 3.0 を公開している。
HP が webOS 3.0 を用意したのはタブレットのため (TouchPad は 1024 x 768 ピクセルの解像度を持つ) だが，スマートフォンなど他のファクタも順次サポートされる予定だ。HP はそれまでの Mojo アプリケーションフレームワークを，Web 完全対応のフレームワークである Enyo に置き換えた。開発者は SDK を使用して，アプリケーションを JavaScript で記述する。それを後で WebKit ブラウザ，つまり webOS ブラウザか，あるいは Google Chrome や Safari などのデスクトップブラウザのウィンドウ上で動作する HTML に変換するのだ。
JavaScript での開発を希望しないならば，PDK (Plug-in Development Kit) がその選択肢を提供してくれる。C/C++ アプリケーションを開発した後でそれをブラウザのプラグインに変換する方法，JavaScript と C/C++ を使用してハイブリッドなアプリケーションとする方法，の２つがあるが，いずれも最終的な成果は Web アプリケーションの範囲にあるものだ。さらに PDK には GCC コンパイラや Simple DirectMedia Library (SDL)，マルチメディアやゲームを追加サポートするための OpenGL ライブラリなども提供されている。
Enyo は 多数の UI コントロールとユーティリティで構成されている。これらは DOM のノードに似ているだけでなく，処理時には実際に変換される。コントロールは次のように記述する。
enyo.create({ nodeTag: "span", className: "a-css-class", style: "color: purple;", content: "Hello World" }).renderInto(document.body);これを処理した結果は，次のような HTML になる。
<span id="control" class="a-css-class" style="color: purple;">Hello World</span>従来型の Mojo アプリケーションも互換性モードによってサポートされる。ただし SDK 3 がサポートするのは TouchPad エミュレータのみであるため，旧タイプのエミュレータを別に用意する必要がある。ちなみにこのエミュレータは，Oracle の仮想化製品である VirtualBox で動作する。
SDK による開発は Windows，Mac OS X，Linux 上で行うことができる。一方の PDK は，Windows では Visual Studio に，Mac では Xcode に統合されるが，Linux でのサポートはない。