Googleは、開発者を驚かせたGAEの値段変更について、変更発表後、値段についていくつかの調整を行った。重要なのは、11月1日から新しい値段で請求を始めること、そして、無料のインスタンス時間が24/日から28/日へ増えたことだ。
Googleは5月に開催されたIO 2011で、GAEは3年のプレビュー期間を脱して、正規のサービスになると発表したが、これは、現在の値段ではこのクラウドビジネスを維持するのに十分な収益を挙げられないということを暗に示していた。
Googleの正式なサービスとして継続的に利益を得るために、価格構造を見直さなければなりません。顧客からのフィードバックに基づき、利用ベースの価格体系を見据え、ユーザ単位やアプリケーション単位の課金は当面の間、保留にします。
そして、新しい価格表と、新しい価格体系になることでユーザがどのような影響を受けるか、どのようにコストを見積もったらいいかを詳しく発表した。Googleによれば、GAEのビジネスユーザ(GAE4B)が利用できるいくつかの特徴がすべてのユーザに提供される予定だ。それらの特徴には“SLA、カスタムドメイン向けSSL、SQL、運用と開発のサポート、ビジネス指向のサービス規約”が含まれている。
また、Googleはフリー、ペイドアップス、プレミアアカウントの新しい3つの利用形態とインスタンスとAPI、データストアストレージの新しい利用料金を発表した。もっとも重要だと思われる変更は、CPUサイクルごとに課金されていたのが、インスタンス時間(IH)へ課金されるようになったことだ。新しい値段体系ではアプリケーションがアイドル状態だったとしても利用料を払う必要がある。また、APIの呼び出しの無料使用の割り当ても廃止された。
Googleは8月31日にも新しい価格への移行の意図を説明し、9月の後半には新しい価格へ移行すると発表した。ほとんど注目を集めなかった以前の発表とは違って、この発表にはGAEを使う100,000人の加発者の中で大きな反応を生み出した。多くはこの発表に驚き、中には幻滅してより低価格なソリューションに移行すると言う人もいた。
Googleのブログに対するコメントを分析すると、今回の変更に対する不満をのほとんどは、シンプルで静的でほとんど常にアイドル中のウェブサイトをGAEにホストしている人々が漏らしている。GroovyのプロダクトマネージャであるGuillaume Laforge氏はGoogle Plusのコメントに次のように書いている。
単純なブログアプリケーション(http://glaforge.appspot.com)をホストしています。このアプリはあまりトラフィックはありませんが、定期的に誰か見に来ていますし、フィードリーダーやGoogle検索のボットからもアクセスされていますので、常にインスタンスを立ち上げておく必要があります。"スライダー"(最大インスタンス/アイドル時間)で切り替えが出来るのに、私の小さなブログにはたくさんのコストがかかってしまうというわけです。小さなブログくらい無料で走らせることができればいいのに。とても残念です。
10日後、Googleは新しいGAEの価格体系に対する調整を発表した。優れた分析ツールや比較レポート、12月1日までのインスタンス価格の50%引き、可能な限り速くプレミアアカウントを導入することなどを発表したが、主要な調整は下記だ。
- 新しい価格体系は11月1から導入する。これは、開発者が今回の変更を理解し、GAEにとどまるか他のクラウドへ移動するかを決定するための期間を設けるためだ。
- 無料インスタンス時間が24/日から28/日になった。開発者は丸一日インスタンスを動かしてアプリケーションをテストできる。
また、GoogleはGAEのランニングのコストを少なくする方法やリソース利用の管理方法も発表している。基本は実行中のインスタンス数を最小限にして、なくしてより安価な予約済みのインスタンス時間を使うことだ。Googleが発表した方法を適用してみた開発者が言うには、
私の利用料は0.14ドル/日から3ドル-4ドル/日(4ドル/日も払えません... 1ドル/日が精一杯)でした。"最大アイドルインスタンス"の設定を1にしました。私の5から8のインスタンスはほんの少しのリクエストを捌くためにほとんど1日中アイドル状態だったのですが、こんなには必要なかったのです。こうすることで費用は0.39ドル/日になりました。なので価格が3倍になったとしても私は問題ありません。今までの値段が安かったのです。
ペイドアップスの場合は、9ドル/月/アプリケーションを払わなければならないが、プレミアアカウントの場合は月額500ドルを払えばいいので、大規模なビジネスに向いている。しかし、インスタンスの実行や帯域の利用には別途費用がかかる。Googleは新しいGAEの特徴は大規模な組織に向いていると売り込んでいるが、GoogleのApp Engine担当のエンジニアリングディレクターであるPeter Magnusson氏によれば、かかる費用は2倍から5倍になる。
App Engineの新しい価格は従来よりも高いのです。大規模なアプリケーションは最適化を行ったとしても月額利用料は2倍から5倍になるはずです。多くの小さなアプリケーションは最適化やパフォーマンスのトレードオフを考慮しないと無料割り当て内で利用できなくなるでしょう。無料割当分プラス多少の料金を払っていた多くのアプリケーションはもっと費用がかかるようになります。
しかし、Googleにはこの新しい価格体系は競争力があると考えており、なにか問題があればappengine_updated_pricing@google.comへメールしてほしいと呼びかけている。