HP は webOS を Enyo 共々オープンソース化するとともに,積極的な開発の継続を約束する。
HP は自社のモバイルオペレーティングシステムの webOS を オープンソースにすると決定した。単にコミュニティに対して解放するだけではなく,自らも開発とサポートを積極的に続けることを約束している。さらに,アプリケーションを任意の WebKit 系ブラウザ上で動作させる HTML ベースのフレームワーク Enyo も公開する。もし十分な反響が得られるなら,同社は webOS 用モバイルデバイス開発について再検討する つもりである。曰く "私たちは他の主要なオペレーティングシステムについて行っているのと同じように,webOS をデバイスに搭載する可能性について検討します。"
詳細なロードマップは未発表だが,HP は次のようなプランを持っている。
- プロジェクトは webOS プラットフォームのオープン開発の促進を目標とする
- HP はプロジェクトへの積極的な参加と出資を行う
- フラグメントを回避するための良質で透過的,かつ包括的なガバナンス
- ソフトウェアは完全なオープンソースプロジェクトとして提供する
今回の発表は webOS の破棄あるいは買収相手を探すという,以前の計画を完全に覆すものだ。買収に興味を示すものがいなかったのか,あるいは HP の希望する金額が提示されなかったのか,そのいずれかなのだろう。
webOS がこれから進む道は,決して平坦ではない。HP はこの OS を Palm から 2010年4月に 12億ドルで買収し,多額の投資を行ってきた。その成果である TouchPad のローンチは大失敗に終わっている。結果的に HP は webOS を廃棄すると決定し,CEO を交代させた。完成したタブレットは大幅な値下げをした後,最終的に市場から姿を消した。
webOS が今後どのようになるか,コミュニティやタブレット/スマートフォンメーカの注目を集めることができるのかどうか,興味深いところである。さらに Android のライバルになり得るかどうかも注目点だ。HP は "透過的かつ包括的なガバナンス" を約束しているが,これは閉ざされたドアの向こう側で開発したコードをリリースするという,Google のアプローチを念頭に置いたものだ。真にオープンなガバナンスのプロセスには多くの議論が必要だが,そのような時間はなさそうだ。きわめてダイナミックなモバイルマーケットにおいて,HP のよりオープンなアプローチは果たして功を奏するのか。それは時間が明らかにするだろう。