Forrester社リサーチ部門ディレクタ兼ヴァイスプレジデントDave West氏によると、Water-Scrum-Fallが当たり前のものになっているという。 最近のSD Timesでの記事で、Dave氏はForrester社の分析について述べている。Forrester社によると:
“ボトムアップの適用とトップダウンの変革を通して、数々の組織がアジャイルソフトウェア開発手法を適用しつつある。しかしながら、実際にはアジャイル適用は大本のアジャイルマニフェストの理念から隔絶したものとなっている。多くの適用内容は、Forrester社がWater-Scrum-Fallと名付けたものにそっくりなのだ。 “
多くのアジャイル導入は実作業者によって主導され、実作業者が最も緊密に作業する領域、つまりソフトウェア開発ばかりにフォーカスすることから、このようなことが起きるのだとForrester社は見ている。リリース管理やプロジェクト計画のような領域は、未だに伝統的な手法で行われているのだ。
記事では、Water-Scrum-Fallなる名称を以下のように解説している:
Water – 多くの場合はITとビジネスの間に行われる、前倒しのプロジェクト計画プロセスの定義
Scrum – 「Water」段階で最初に定められた計画全体を達成するための反復・進化型のアプローチ
Fall – 組織方針やインフラの制約によって定められる、制御された、頻繁でない本番リリースサイクル
記事では、Water-Scrum-Fallの現実に直面し、アジャイル性を向上させたい開発チームに宛てて、Tipsを示している。全体として:
- 適切なScrumチームは、ソフトウェアを完成させるために必要な要員で構成されなければならない。多くの場合、開発者、テスタ、ビジネスアナリストが共通のゴールに向かって協働することを意味する。
- アプリケーション開発担当者は、頻繁でないリリース状況を改善し、より良い統合されたリリースプロセスを開発チームへもたらすよう取り組むべきである。
- 過大な時間を前倒し作業に使うことは、リリース品質を向上させはしない。むしろ、無駄になるだけだ。
- ドキュメント類は、動作するソフトウェアの貧相な代替物に過ぎない。したがって、あらゆる作成ドキュメントは、問題のある部分や開発作業を開始するための大まかな計画を表すのに充分な程度であるべきだ。
しかしこの記事は、Big VisibleでのMike Dwyer氏による2011年7月のBlog記事を思い起こさせる。その中で、Scrumは3つの大きなグループに分かれているとMike氏は主張する:原典主義者(purists)、似非適用者(posers)、そして実用主義者(pragmatists)だ。
Water-Scrum-Fall開発チームは、原典主義者に到達するまでは似非適用者にすぎないのだろうか?もしくは、Water-Scrum-Fallこそが実用主義の精髄なのだろうか?読者の皆様にお聞きしたい。あなたはどう考えるだろうか?
(以下、訳者付記)
2012年12月19日現在、当該記事には3件のコメントが付けられている。
アジャイルの価値は認めつつ、エンタープライズ系アプリケーション等で内部-外部共に頻繁なリリースが求められないケースや、アップフロントな計画が重視されるケースを挙げ、現実へ適用する場合の考慮としてWater-Scrum-Fallに賛意を示す意見が見られた。
また、記事で説明された内容はScrumの使い方のひとつであり、Water-Scrum-Fallなどと新しい名前を付けるまでもない、という意見も見られた。