Baidu Technical Salon はこれまで 21 回開催されている。2011年は毎月1回,合計12回,北京で開催された。テーマはクラウドコンピューティングやモバイルインターネット,ビッグデータ,ログ解析など,その時々の人気トピックである。この記事では Baidu が Technical Salon を通じて行っている技術コミュニティのサポートと,2012 年に向けての計画の概要を中心にレポートする。
Baidu Technical Salon とは何か, 知らない人も多い。Zhihu ウェブサイトにも同じような質問があった。簡単に言えば Baidu が主催,計画,開催し,InfoQ が運営する定期的なオフラインコミュニケーション活動だ。昨年実施された12回の活動から,その概要を伺い知ることができる。
- Web アプリ開発とアプリケーション, および 2011 年の技術動向の展望: 講師は Baidu Technical Committee 議長 Zhang Jinmao 氏,InfoQ 中国ウェブサイト創設者 Huo Taiwen 氏。
- モバイルインターネット基本技術の解析 - ワイヤレス検索と HTML5: 講師は Baidu シニアマネージャ Hu Song 氏,Leiyou Science and Technology 創業者 Fei Zhao 氏。
- 大規模ウェブサイトデータベースのアーキテクチャ設計とパフォーマンス最適化 : 講師は Baidu シニア DBA の Wang Long 氏と Fexin 主任アーキテクトの Sun Zhaohui 氏。
- JavaScript ライブラリの設計と応用: 講師は Baidu シニアエンジニア Lei Zhixing 氏,Qunar シニアアーキテクト Hu Jinpu氏。
- 大規模インターネット製品の操作とメンテナンスの実際: 講師は Baidu Technical Committee 議長とTencent 運用保守副部長 Zhao Jianchun 氏。
- 高信頼性かつリアルタイムなコミュニティベースのウェブサイト設計: 講師は Baidu Tieba 技術リーダ Li Han 氏, Qunar Hotel 技術ディレクタ Yang Miai 氏。
- 継続的デリバリの利点: 講師は Baidu シニアエンジニア Qiao Liang 氏,Freewheel プロジェクトマネージャ Dang Zhengfa 氏。
- リッチクライアント時代のJavaScript フレームワーク: 講師は Baidu フロントエンドエンジニア Dong Rui 氏,IBM シニアソフトウェアエンジニア Cheng Fu 氏。
- 大規模 ウェブサイトにおけるパフォーマンステストの実践と結果解析: 講師は Baidu シニアアーキテクト Wang Lei 氏,HP シニアエンジニア Gao Lou 氏。
- DevOps - 機能を完備したデリバリチーム: 講師は Baidu シニアエンジニア Qiao Liang 氏,ThoughtWorks コンサルタント Feng Zhichao 氏。
- 優秀なログ解析システムを設計するには: Baidu シニアエンジニア Chen Xiaoming 氏,Taobao シニアテクニカルエキスパート Zhang Maosen 氏。
- アプリケーションの対話設計における開発実例: Baidu シニアマネージャ Li Nianfu 氏,PhoneGap コミュニティ技術ディレクタ Zhong Fubai 氏。
Baidu と共同開催をするにあたって InfoQ には,Baidu の競合企業のエキスパートたちが果たして参加してくれるのか,という 不安が当初あった。Baidu からの回答は,"私たちはオープンです" というものだった。先にあげた一覧からも分かるとおり,Baidu Technical Salon には Baidu 自身の技術スタッフの他,Taobao や Sina,Google,SNDA などから技術の専門家が招待されている。そこからは閉鎖的な製品プロモーションミーティングではなく,同じテーマに関する経験を業界全体で共有しようという姿勢が伺える。
InfoQ の調査によると,2011年内の Baidu Technical Salon 参加者数は 3,000人に近い。その多くは杭州や大連,成都,武漢,天津,深センなど,北京以外の都市からの参加者だ。Baidu と Google 上での Baidu Technical Salon の検索数も,これまでに 5,000万件を越えている。Weibo でのコメントはさらに活発で,Sina Weibo だけでも関連するトピックの数が 10,000 を越えている。
企業が単独で技術産業全体の環境を変えることは難しい。しかし我々は "バタフライ効果" - いくつかの小さな羽ばたきが海の向こう側に大きな津波を作り出すことがある - を信じている。Baidu Technical Salon が国内の技術コミュニティを活発にしている,と主張するつもりはない。しかしこの2年間で,かっては技術コミュニティへの参加に消極的だった企業の参加が増えているのは事実である。それらの企業は,技術コミュニティが必要とする経済的支援を提供するだけの存在ではない。彼ら自身の技術専門家たちにとっても,自らのコアテクノロジを最大限に共有することが可能になるのだ。Baidu や SNDA,Taobao,eBay,Alibaba などの有名な技術系企業が近年,InfoQ の主催する国内外の QCon Software Development Conference に参加していることは知っていた。先日,上海で開催された PyCon Conference China にも Google や Kingsoft International,Douban,Tudou といった企業がブースあるいは講演者として参加していた。さらにオープンソースの Hadoop コミュニティにおいても,Huawei や Tencent,Yahoo,Qihu 360 などの企業が Hadoop in China コミュニティに参加している。営利企業による参加と支援が,技術コミュニティにとってよいニュースであることは間違いない。 技術関係者と企業にとっての利益と,国内の技術コミュニティ全体のさらなる活性化という,それぞれのパーティが必要とするものがどちらも手に入るのだから。
InfoQ の入手した情報によれば,Baidu は 2012年,さまざまな話題をカバーするオフライン活動を北京で継続することに加えて,上海や深セン,成都,武漢その他の都市にも活動組織を拡張し,地元の技術コミュニティを可能な限り支援する計画を持っている。InfoQ は “企業ソフトウェア開発における知識を改革の拡張を促進する” 役割を,今後も引き続き果たしていく。最新の技術動向については InfoQ サイトや Baidu Technical Salon のWeibo アカウントである @Baidu Technical Salon,あるいは Micro group などを通じて学ぶことができる。
'環境,対話,議論,結集' が Baidu Technical Salon のスローガンだ。人気のある技術的トピックを密接に追い続けることによって,話題の共有を求める業界トップの技術専門家たちを引き寄せるとともに,"オープンで自由な議論" などの活動を通じて,すべての参加者に自身の見解を共有する機会を提供する。Baidu が行っているのは,国内の技術コミュニティの発展を推進するための取り組みだ。InfoQ 創設者の Floyd Marinescu が言うように,"Baidu Technical Salon は技術者がオフラインで学ぶ,非常によい機会です。技術的プレゼンテーションとオープンな議論の完璧な組合せは,他にはまず見られない,極めてユニークなものです。"