アジャイル手法やそこから派生したもの(リーン、かんばん、リーンスタートアップなど)は、いかにしてソフトウェア開発の生産性を高め、エンドユーザと顧客にとって価値あるものにするか、に焦点を当てている。しかしながら、こうした儀式やプロセスはチームメンバー個人の生産性について、もっと基本的な視点を失ってはいないだろうか?
最近、Inc. Magazineの記事が、仕事の妨げになるものと、それらが職場で生産性にどんな影響を与えるかを取り上げた。この記事で引用されているTony Wong氏(プロジェクトマネジメントのブラックベルト)によると、以下が生産性を高めるコツだという。
ゴールからマイルストーンへタスクへと分割して仕事をする。 To-doリストの一番上に「会社のWebサイトを立ち上げる」と書いても、いつまでたってもそれを達成できないでしょう。作業をもっと小さな作業へと、数時間以内に完了できるくらい具体的なタスクにまで分割しましょう。「ワイヤーフレームをスケッチする」、「紹介ビデオのアウトラインを考える」などです。そうすれば、複数のゴールを設定して、To-Doリストから順に消していけるでしょう。
マルチタスクをやめる。 本当にやめましょう。タスクからタスクへすばやく切り替えるというのは、うまくいきません。実のところ、1日に10回以上タスクを切り替えることは、お酒で酔っ払う以上に頭の働きをわるくします。酔っ払っていると、あなたのIQは5ポイント低下します。マルチタスクをしていると、平均10ポイント、男性で15ポイント、女性で5ポイント低下します。(そう、女性と比べて3倍、男性はマルチタスクで悪影響を受けるのです)
思いきって仕事の妨げになるものを排除する。 ドアに鍵をかけて、看板をかかげ、電話、SMS、メール、IMを切りましょう。メールをのぞき見てしまいそうに思うなら、オフラインモードにするか、インターネット接続を切ってしまいましょう。静かな場所に行って、1つのタスクを完了させることに集中するのです。
メールをスケジュールする。 メールを使うのは1日に2、3度にしましょう。1日中メールをしきりにチェックしているとノイズを生み、生産性を殺してしまいます。
電話を使う。 メールは会話の手段ではありません。1つのメールに2回以上返信してはいけません。代わりに電話をかけましょう。
自分のアジェンダで仕事をする。 あなたの1日を他の何かに設定させてはいけません。多くの人がまずメールに直行して、その処理に忙殺されます。やっとのことで未読メールをなくしても、まだあなたは何も成し遂げていません。朝起きたらまず、水を飲んで水分補給し、おいしい朝食をとってブトウ糖を補給しましょう。それから1日のゴールに優先順位を付けましょう。
60分から90分単位で仕事をする。 あなたの脳はどんな肉体運動よりもブドウ糖を消費します。通常は60分から90分でその大部分を使い果たしてしまいます。(長時間のミーティングで燃え尽きたように感じるのはそのためです)。休憩しましょう。席から立ち上がり、あたりを散歩して、お菓子をつまんで、全く違うことをして充電しましょう。もちろん、これは昼食以外に休憩に1時間必要だということを意味します。したがって、もし毎日8時間仕事をする必要があるのなら、9.5~10時間そこにいるよう計画しましょう。
スクラムは、仕事の妨げになるものを取り除き、仕事を意味のあるタスクへと分割し、タイムボックスで仕事をするなど、Tony氏が指摘していることの多くを促してくれる。しかしTony氏は、個人的な仕事のスタンダードをもつことが、すべてのプロフェッショナルに必要だと訴える。ソフトウェア開発チームが仕事をする上で、何がベストプラクティスなのだろうか? ソフトウェア開発者はどんな習慣を会得しているのだろうか?
ソフトウェア開発のすぐれた習慣について書かれたサイトやブログ、LinkedInを以下にいくつかあげる。
こうしたサイトを読むと、開発者の責務のうち技術的な側面にかなり焦点を当てているという印象を受ける。「コードが動作すると証明されるまで、動作しないものと思え」、「問題解決」、「好奇心」、「コードをクリーンにしておく」、「設計のシンプルさ」、「問題を理解せよ」、「コードを書く前に、まずインターネットをチェックせよ」といったものが散見される。
これらはどんな開発者にも重要なポイントだが、Tony Wong氏が挙げたものは仕事の生産性という観点でより実践的で直接的であり、他の人がソフトウェア開発者のすぐれた習慣として挙げているものと矛盾するものもある。
あなたはどう思うだろうか? どんなものが開発者の気を散らすのだろうか? ほかの専門家にとって生産性を高める習慣がソフトウェア開発者に悪影響を及ぼすのだろうか? プロセス(アジャイルやそのほかの)は開発者個人の効率のわるさを隠すのだろうか? あなたはどのようにして個人の生産性を高く価値あるものにし続けるのだろうか?