Couchbase が新たに実施した調査によると,企業における NoSQL ソリューションの採用率が上昇を見せている。巷に言われるように,これは NoSQL の年であることを示すものだろうか,開発現場での採用を進めている原動力は何なのだろう?
ドキュメント指向データベースのCouchbase Server を提供する Couchbase は昨年12月,米国,欧州,アジアの 1,300 を越える開発者,ソフトウェアアーキテクト,ITマネージャを対象とする調査を実施した。回答の中には Couchbase 自身のユーザからの 150 件も含まれている。調査のポイントである NoSQL の採用動向については,次のような結果だった。
- 回答者の 50% が,2011 年上半期に NoSQL プロジェクトへの投資を実施している。
- 回答者の 70% および 250 以上の開発者が,2012 年中に NoSQL に投資する予定である。
興味を引くのは,NoSQL 採用の主な理由としてスケーラビリティではなく,データベーススキーマの柔軟性を挙げている回答者が大半を占めている点だ。
"2012 年にあなたが NoSQL 技術に最も期待,あるいは希望するものは何ですか" という問いに対して,何人かのユーザがDB スキーマに関連した次のような回答を寄せている。
- "変化するビジネス要件への適応が難しく,融通の利かないスキーマの問題からの解放"
- "硬直的なレガシーデータストアの撤去と,より効率的で柔軟なデータストアによる置き換え"
- "高価なスキーマ変更からの解放と,水平スケーリングの簡素化"
調査によれば,NoSQL ソリューションの主要な適用分野は次のようなものだ – ターゲット広告を目的したユーザのリアルタイム追跡とセグメント化,障害復旧,在庫管理,生産自動化,保険引受,マルチコールセンター業務 (製品情報の複製など),Twitter ストリーム分析など。
NoSQL 採用の増加は,Evans Data が北米の 400 の開発者を対象として昨夏実施した 別の調査 でも示されている。
NoSQL は,北米の企業開発者たちに急速に受け入れられつつあります。Evans Data が先日リリースした North American Developer Survey によれば,その 53 % が何らかの形でスキーマレスデータベースの使用を報告し,63% が 2 年以内に使用する計画があると述べています。43% が NoSQL の利用意思を示している一般の開発者に比較すると,企業セグメントにおける利用意思には極めて強いものが見られます。
Market Research Media が1月に発行した 2013 年から 2018 年の NoSQL Market Forecast (市場予測) では,世界の NoSQL 市場が "2018 年に 34億ドル,2013 年から 2018 年の年平均成長率(CAGR) 21%" に達すると予測し,"2013 年から 2018 年の間に 140億ドルの収益を創出する" と,NoSQL 市場の成長に期待する考えを支持している。
同じように NoSQL の動きの本格化を示した GigaOm の Structure Event Europe 2012 では,次のような予想に言及している。
今年の上昇機運にあるのは NoSQL の採用,そして大容量データに特化した設計のクラウドプラットフォームの出現です。どのような変化があるか,それが企業にどのような意味を持つのか,私たちは実感することになるでしょう。
InfoQ 創設者のひとりであるソフトウェアアーキテクトの Alex Popescu 氏は,企業が NoSQL データベースを適用する主要な方法として,1) "Hadoop とのシームレスな統合",そして 2) NoSQL ソリューションが "広く採用されているフレームワークの一級市民" になること,の2つを示唆している。