CGN (Government Computer News) によると,米国陸軍 SEC (Software Engineering Center) 内にあるアーキテクチャサービス部門は,アプリケーション開発の迅速化とプライベートクラウドへの移行のためのプラットフォームを導入している。この目的のためにエンジニアたちが選択したのが OutSystems の Agile Platform である。
クラウドコンピューティングは IT 産業に幅広く喧伝された謳い文句のひとつである。少数の企業が本気でそれに賭けている。その間,多数の組織が実際に Amazon や Google,IBM,Microsoft,あるいは Oracle などが提供するクラウド技術を活用している。そしてセキュリティ上の理由から,そのような企業の大部分と政府機関内がプライベートクラウドに関する実例を収集し始めたのだ。
中心的な課題は,クラウドアプリケーションの開発だけではない。既存のレガシコードをクラウドに移行することも問題になる。クラウドインフラストラクチャは IT インフラストラクチャ (Infrastructure as a Service) を提供するだけではなく,場合のよっては開発プラットフォーム (Platform as a Service) も提供する。パブリッククラウド,プライベート,あるいはハイブリッドのいずれであっても,アプリケーションのクラウドへの移行は単純ではなく,容易なことでもない。ベンダロックインの回避を主要な目的のひとつにしているならば,なおさらだ。
OutSystems のような企業が,自社製品で埋めようとしているのはこのギャップである。OutSystems によれば,同社の提供する Agile Platform は,アプリケーションをクラウドに容易に展開可能な移行パスを実現するものだ。
OutSystems 自身は Web サイトで,Agile Platform について次のように説明している。
学習プロセスのジャンプスタートを支援し,完全な機能を持つアプリケーションを数時間という早さで提供する,無償オープンソースのビジネスアプリケーションの統合サイトです。
この製品はアプリケーションの開発と展開に関わる作業支援を目的とするもので,HTML5 と CSS 3 をサポートしている。モバイルアプリケーションの統合も可能だ。
しかしベンダの約束はコインの片面にすぎない。本当のエクスペリエンスは反対の面にある。すべての複雑なソフトウェアとシステムアーキテクチャがそうであるように,開発プラットフォームには,安定性を評価するための徹底的なテストが必要である。
CGM のニュース記事で,編集者の Rutrell Yasin 氏が次のように説明している。
Agile Platform を最初にテストしたのは,複雑な既存システムをクラウドインフラストラクチャに移設するプロジェクトでした。当初のシステムでは開発から運用まで2年半を要したのですが,Agile Platform を使用することによって,わずか16週でアプリケーションを再配置できた上に,モバイルインターフェースなど新機能の追加も実現できました,と OutSystems の関係者は述べています。最終的なアプリケーションは,2011年11月初旬に稼働しました。
Agile Platform のような製品は,オンプレミスであるかどうかに関わらず,クラウド用アプリケーションの開発や移行を促進するものなのかも知れない。あるいは近い将来にその姿を消すような,もうひとつの銀の弾丸なのだろうか? 少なくとも SEC は,自らの選択に満足しているようだ。