形式的に言えば,ASP.NET MVS は当初からオープンソースであった。しかし Microsoft の大部分のプロジェクトがそうであるように,ごくまれな例外はあるものの,ほぼすべての作業が Microsoft 内で行われていた。 "オープン開発" ではなかったのだ。そのような状況が昨日,すべて変わった。Scott Guthrie 氏によれば,"コミュニティの誰でも製品コードへのチェックインやバグフィックス,あるいは新機能の開発に参加してフィードバックを提供したり,その時点で最新バージョンのソースコードやテストを使用してビルドとテストに参加することができるようになります。"
その ASP.NET MVC で最初に受けいれられたプル要求 は,他でもない Xamarin の Miguel de Icasa 氏からのものだった。氏は Mono プロジェクトの創始者として,広く知られた人物だ。ただし ASP.NET はオープン開発モデルに移行した最初の Microsoft プロジェクトではない。その名誉は Azure SDKs on GitHub のものだ。
Microsoft が ASP.NET MVC の管理をコミュニティに移管した訳ではない,という点は重要だ。Miguel de Icaza 氏や Jimmy Schementi 氏によって管理される IronRuby や IronPython とは異なり,ASP.NET MVC や ASP.NET Web API,Razor などのプロジェクトの技術スタックのサポートや人員提供は,Microsoft が引き続き独占的に実施している。
オープンソース化された ASP.NET ライブラリは,先頃 Git バインディングを獲得した CodePlex にホストされている。集中的な管理が必要な場合にば TFS が良好に動作するが,一般にオープンソースプロジェクトにとっては Git の分散性の方がよい選択と考えられている。ASP.NET MVC とその関連プロジェクトには,現在すでに 20 のフォークが存在する。
ASP.NET には現時点で,まだオープンソース化されていない部分がいくつかある。注目すべきなのは,その中に Web Forms が含まれていることだ。Scott Hanselman 氏が次のように説明している。
現時点でオープンソース化されているコンポーネントは .NET フレームワークのコアから独立して出荷されているものに限定されています。要するに,OS が依存していないコンポーネントだけなのです。Web Forms は Windows Server プラットフォームが参照している System.Web.dll の一部です。この依存関係があるため,.NET フレームワークや OS をバージョンアップする時のように,簡単に新しいバージョンに置き換える訳にはいかないのです。
ASP.NET MVC 4,ASP.NET Web API,ASP.NET Web Pages v2 (Razor) はいずれも Apache 2.0 ライセンスで提供される。