打上げロケットのフライトソフトウェア開発では、組込みシステムや、安全性などの品質特性が重要視される。こうしたミッションクリティカルなソフトウェアシステムを開発するためには、高性能のテストベッドが必要不可欠だ。5月31日付けのNASAのプレスリリースによると、スペースローンチシステム(SLS)用のソフトウェアテストベッドコンピュータがNASAに到着したという。
プレスリリースには次のように記載されている。
SLSはNASAの宇宙船オリオンを打ち上げます。また、SLSには地球軌道以遠の有人探査のための全く新しい能力が搭載されます。SLSとオリオンはクルーミッションや貨物ミッションを考慮した柔軟な設計となっているため、安全性、低価格性、持続可能性に優れています。今後も宇宙に関する米国独自の発見の旅は続きます。
プログラムマネージャのTodd May氏は、テストベッドの重要性について次のように説明している。
SLSはこれまで構築してきた中でも最強の打上げロケットです。そのため、有人宇宙飛行史上、最性能のフライトソフトウェアが必要です。今回、アビオニクスハードウェアを早い段階で入手できたことで、NASA SLSチームとボーイング社によるフライトソフトウェア開発に拍車がかかるでしょう。
NASAはボーイング社から提供されたテストベッドフライトコンピュータを利用して打上げロケットのソフトウェアを微調整する予定だ。テストベッドシステムを使用することにより、開発チームはロケットが移動する空間をシミュレーションできるようになる。
ソフトウェア、電子機械工学、電子工学など、異なる領域にわたるシステム統合プロジェクトでは、シミュレーションやテストベッドの利用はソフトウェアを開発する上で不可欠である。というのも、一般的にソフトウェアの増加は頻繁に発生し、それにより他の領域との関係を維持できなくなるからだ。シミュレーションやプロトタイプ、テストベッドを使用すれば、実際のハードウェアが手元になくてもソフトウェアエンジニアがシステムの品質を確保する上で有効な手段となる。
計画の詳細は、NASAのSLSのサイトを参照されたい。