最近のアジャイルオーストラリアカンファレンスにおいて、アジャイルコーチであるRenee Troughton氏が語ったのは、組織がアジャイルアプローチ採用に向けて管理モデル改革を行う手助けをしたときの経験だった。
IT Newsは「プロジェクトマネジメントオフィスの崩落」というタイトルの記事において、彼女の講演についてまとめている。ニュージーランドの社会開発省が、プロジェクトの主導と承認に対するアプローチを根本的に変えることによって60名からなるPMOを解散した方法について彼女は説明した。曰く
PMOを排除し、規模に見合ったプロジェクトの標準的な流れを作ったことで、日々現場で働く現場の人たちの手にプロジェクトを戻すことができました。
また、同じカンファレンスでは、TelstraやSuncorp(どちらもプロジェクト開始のプロセスを単純化し、日常的にレビューを実施したり簡単なチェックポイントを設けたりした。こうすることで、プロジェクトの成果が、変化する環境に対応しつつビジネス価値を最大化することに集中できるようになった。)のような他のオーストラリアの企業も、チームに権力を与え、官僚的障壁の除去に注力するため、どのように管理プロセスを変えたかについて語った。
同様に、Mark Thiele氏はFluid ITを導入することを勧めた。この手法はクラウドサービスとアジャイルアプローチを用いることで、あるIT集団のデリバリー能力や管理プロセスと関係なく、ビジネスをIT化して解決策をもたらすことができる。曰く
ビジネスではITを忘れることができなければなりません。ビジネスチャンスに目を向け、その実行可能性をメリットだけから判断できるべきであり、ITが追いつけるかどうかは考えなくてよいようにしなければなりません。しかし、ITが無視されてよいと言いたいわけではありません。それどころか、ITをビジネスの「中に」持つという需要はかつてないほど重要であるといえます。ビジネスプロセスや作業成果を潜在的ITソリューションに変換するのに、ITがどのように適応されるかを理解している人より上手く変換できる人はいるでしょうか?
記事の中で彼は、自らの展望を実現するために「流動的」である必要のあるサービスの諸側面について語った。
他のコメンテータで、組織にアジャイルが導入された際にPMOに求められる変化について議論しているのはcPrimeのKevin Thompson氏だ。彼はThe Agile PMOという題名の記事を投稿し、その中でPMOの役割や活動について、そしてPMOがどのように影響を受けるかについて議論している。彼はこう締めくくっている。
PMO、 PgMO、またはPPMOがアジャイルプロセスを導入することによって生じる変化は、最初は二通りの現れ方をします。
1. アジャイルプロセスによってPMOやPgMOの戦術的なプラクティスが決定付けられたり影響を受けます。そしてPPMOsがポートフォリオ管理のために必要な情報の種類とそれがいつ必要になるかが変わります。
2. 組織に浸透していく際、アジャイルは共同作業やコミュニケーションに重点を置き、変化に対して潔く反応することで、特に変化の激しい環境にいる組織が機能する能力を高める傾向があります。
皮肉なことに、頻繁に再評価を行うアジャイルアプローチは古典的に教育されたプロジェクトマネージャーにとってはしばしば奇妙に思えるもので、ポートフォリオマネジメントの観点とすんなり合っています。アジャイルプロセスによって規定されたプラクティスがポートフォリオレベルではなく、プロジェクトレベルでの作業の実施に焦点を合わせている事を思えば、この皮肉はさらに強くなります。したがって、結論としては以下の見解となります。
アジャイルプロセスで開発することの恩恵のひとつは、未来をどのように見通し、未来のためにどのように計画をするかという統一されたテーマを持つことができるということです。そのテーマはポートフォリオレベルからプロジェクトレベルまでも含んでいます。
アジャイルの導入はあなたの組織において、管理プロセスにどのような影響をもたらしただろうか?
Shane Hastie はアジャイルコーチ、トレーナーであり、コンサルタントとしてSoftware Education in Australia & New Zealandで働いている。