Microsoft で Team Foundation Server (TFS) の製品ユニットマネージャを務める Brian Harry 氏が,TFS 用の新ツール Git-tf を発表した。開発サイクルの管理に使い慣れた Git コマンドを使いながら,TFS との相互運用を可能にする。ただし Git-tf は,既存の Git ツールセットを補完するものであって,その代替ツールではない点には注意が必要だ。
Visual Studio のテクニカルエバンジェリストである Brian Keller 氏は,TFS プログラムマネージャとしてバージョン管理分野を担当する Matt Mitrik 氏とともに,この新ツールのデモンストレーションを続けてきた。Git-tf はクライアントにローカルインストールされ,リモート TFS リポジトリとの相互運用を支援する。開発者は通常のワークフローの一環として,クライアント側でコミットやブランチ作成などの一般的な Git コマンドが利用できるようになる。作業の進捗に満足できたならば,Git-tf を通じてその変更を TFS にコミットすればよいのだ。現時点では clone, configure, checkin, fetch, pull などのコマンドがサポートされている (shelve はベータ版としての提供で,現状では製品コードへの利用には適さない)。
直接 TFS サーバには接続せず,オフラインでファイル編集などの作業が可能な ローカルワークスペース を利用している開発者もいるだろう。しかしこの方法には,ローカルリポジトリが存在しないという欠点がある -- 更新履歴が残らないのだ。Git のメリットのひとつとして,完全な履歴機能を持ったローカルリポジトリの存在がある。これは (信頼性の高いネットワーク接続が常時保証されない遠隔地で作業している人々のように) サーバへのアクティブなネットワークがない場合でも,バージョン管理のメリットを享受できるという点で有用なものだ。
Git-tf が正しく機能するためには Team Foundation Server 2008 / 2010 / 2012 が必要なことに注意してほしい。従来の (TFS ベースでない) Git リポジトリ 操作を目的とした Git Source Control Provider や Git Extensions などの Git ベースツールとは異なる点だ。
Git-tf は Microsoft の Download Center から入手可能である。また,すべての Java ソースコードが MIT ライセンスの下に CodePlex で公開されている。Microsoft は Git コミュニティへの参加を望んでおり,ユーザからのフィードバックやコントリビューションを歓迎する,と Mitrik 氏は述べている。