Microsoft が Visual Studio 2012 の 正式ローンチ で強調したのは,今日のソフトウェア開発動向のニーズを満たすツールというものを,同社がどのように思い描いているか,という点だった。しかし 基調講演 では同社の現時点での見解に関して,さらにいくつかの洞察を得ることができた。
Microsoft の S.Somaegar 氏によるオープニング基調講演で氏は,現代的な開発において必要な重要プロセスのひとつがアプリケーションライフサイクル管理であり,VS2012 がそれをどのようにサポートしようとしているのか,という説明を行った。もうひとつ明らかになったのは,Microsoft が VS2012 で "HTML5 と JavaScript に大きく賭けている" ということだった。この2つの領域を詳しく見てみよう。
HTML5 / JavaScript
HTML5 と JavaScript に関するサポート拡張のいくつかは,基調講演中に Microsoft の Orviee McDonald 氏が実演している。VS2012 では HTML5 の IntelliSense サポートが拡張され,コード補完とバリデーションが可能になった。HTML5 として編集を始めたファイルを HTML4 に変更したような場合でも,エディタがこのバージョン変更を検出して,バージョン4に準拠しないバージョン5の HTML タグをそのようにマークしてくれる。VS2012 が使用する JavaScript エンジンについて Microsoft では,Internet Explorer 9 で使用しているものと同じだと説明している。
クライアント側のコードと HTML は現在でも Web ブラウザで確認可能だが,McDonald 氏が今回紹介した新しい Page Inspector ではサーバ側コードの確認もできるようになった。これにより,"UI 表示の描画に使用されるサーバ側コードの特定行に対応するコードの ...",動的に生成されるビューの確認が可能になる。
アプリケーション・ライフサイクル管理 (ALM/Application Lifecycle Management)
Microsoft の Nicole Herkowitz 氏は,ALM を支援する新機能をデモした。具体的には Team Foundation Server 2012 の改良により,開発リソース計画の管理性向上が図られている。ビューはカスタマイズ可能で,バックログ項目や作業優先度,それら項目を完了する上での開発者の作業状況などが表示される。
VS2012 は製品ビルド環境においても IntelliTrace を使用可能である。これは特に,従来の Visual Studio では展開できなかったものだ。Herkowiz 氏の指摘するように,VS2012 では開発者が ”... 運用チームに IntelliTrace コレクタを提供することが可能になります。これによって,運用チームがごく基本的な Power Shell コマンドを駆使して多くのデータを収集し,開発チームにデバッグ情報として提供することが可能になるのです。"
このプロセスで追加された拡張機能は,VS2012 の初回アップデートでの提供が予定されている。InfoQ では詳細な情報を入手次第,報告を行うつもりだ。