今日の Java Community Keynote で,Oracle が今年度の Duke's Choice Award イノベーション部門 の受賞者を表彰した。Adopt a JSR プログラム の革新性が評価された London Java Community も受賞者に含まれている。グループ創設者のひとりである Martijn Verburg 氏によると,"開発者は標準を決めている人たちに対して,自分たちとは離れた存在という意識を持っています。私たちも当初,ブログやソーシャルメディアを通じて不満を訴えていたのですが,それなら参加すればいいじゃないか,と言われたのです。" そこで London Java Community のメンバたちは JCP に参加し,次いで adoptajsr.org を立ち上げた。Oracle はかねてから Java 標準をオープンで共有的な,透明性の高い環境に移行 している,という姿勢を見せたいと強く望んでいたのだ。
組み込み Java も注目を集めている分野だ。 Perrone Robotics の Paul Perrone 氏が紹介したのは,ホビースト市場をターゲットとした,プログラミング可能な新しいロボットキットだった。組み込み市場は Oracle にとっても重要な分野だ。Java Client と Mobile Platform を担当する Nandini Ramani 氏は InfoQ に対して,"この分野での変化をリードするのは Oracle です。" と述べている。同社は Java Embedded スイートと Glassfish にバンドルしたミドルウェアスタックによって,組み込み開発に従事する見込みのある,1,000万人の潜在的ユーザを新たに獲得したいと考えている。
驚きが最高潮に達したのは James Gosling 氏がステージに登場して,波のエネルギーを動力とする Liquid Robotics の新しい海洋ロボット Wave Gilder を公開した時だ。氏によると,それには "翼の付いたサーフボード状のものが (長さ7メートルのケーブルで) 取り付けられています"。サーフボード状のフロートと波の動きによって,下部に取り付けられた翼が持続的エネルギーを発生させるモータのような働きをする。上部には太陽電池が取り付けられていて,水質汚染を監視するためのサンプリング検査や気象観測,海洋動物の計数を行うセンサに使用される。運用中の150隻のロボットはマイクロコントローラと組み込みC言語で稼働しているが,新しいロボットでは ARM プロセッサ上で Linux と JDK7 を使用する予定だ。ロボットはそれぞれがノードとしてネットワーク接続され,publish/subscribe モデルを使用して相互に通信を行う。この方法で各ノードがクラスタを構成し,広い領域にわたってセンサのメッシュを構築するのである。プレゼンテーションの内容は JavaOne Keynote のページ で公開されている。
他には,Java で記述された Apache Hadoop プロジェクト,クラウドソリューションへのワンクリックポートを提供する Java PaaS の Jelastic,NetBeasn プラットフォーム上に Java で構築されたオープンソースの農場用情報管理システムである AgroSense などが受賞している。この賞ではユーザによる活動も大きく取り上げていて,London Java Community 以外に,Java コミュニティへの女性の参加を世界規模で促進している Duchess も受賞している。同グループには,60カ国以上に500人以上のメンバがいる。本年度の学生受賞者である Ram Kashyap 氏は,Nokia Student Network の創設者で,社長も務める。本年度はこの他に,NATO で使用されている MICE (MASE Integrated Console Environment), UNHCR (国連難民高等弁務官事務所),Eラーニング専門企業の Parleys.com などが受賞している。