WebMatrix 2 は ASP.NET,PHP,HTML5,CSS3 アプリケーションを短時間で構築,配布することが可能な Web 開発ツールである。最新リリースでは ASP.NET,PHP,Node.js,および HTML5 用の新たなテンプレートと,iPhone および iPad 用のシミュレータが追加された。さらに SQL Server や MySQL,SQL Server CE といったデータベースも組み込みでサポートする。
図1 – WebMatrix2 テンプレート
WebMatrix 2 は 14 の言語に対応し,ASP.NET や PHP,Node.js,HTML5,CSS3,Razor および Jquery といった主要なプログラミング言語で IntelliSense をサポートする。さらに WordPress,Joomla,mojoPortal,Orchard CMS,BlogEngine.NET,DasBlog,Umbraco など50以上のアプリケーションをインストールおよび設定する機能を提供するとともに,それらのアプリケーションに特有のコード補完もサポートする。
図2 – Web ギャラリから簡単にアプリケーションをインストール
"Vim をクールに使いこなせなければ,シンプルなサイト用や簡易な JS/HTML/CSS エディタとして WebMatrix を使用するように,と私はいつも周りの人たちに薦めています。" – Scott Koon氏 (ASPInsiders)
WebMatrix 2 は拡張モデルも備えているので,開発者自らプラグインを作成したり,コミュニティで提供されているプラグインを利用することができる。サイトとデータベースを直接 Windows Azure に公開した上で,ライブサイト上のファイルをリモートビューで編集することも可能だ。
図3 – Windows Azure へのアプリケーション配置
"すでに Windows Azure サイトをお持ちなら,ダッシュボード上の WebMatrix ボタンを押すだけでいいのです。" – Faith Alington 氏 (WebMatrix 2 開発チーム)
WebMatrix 2 は Web ホスティングサーバへのサイト公開も簡単だ。Web への展開はデータベース全体のスキーマとデータを公開することも,修正部分のみを対象にすることもできる。さらに Web デプロイ時には最初に互換性チェックが実施され,それに従ってアプリケーションプールの .NET フレームワークのバージョンが自動的に変更される。
"WebMatrix の JavaScript と CSS サポートは Visual Studio とほぼ同じです。私の好きな Ctrl+M+O によるコードの折りたたみ機能も CSS と HTML,それから JS を対象に用意されています。ただし JavaScript で F12 を使用して関数定義に移動することはできません。代わりにサイトのローンチが実行されます。つまりどちら側にも多少の良い点と不便な点がある,ということです。それでも全体として,Web アプリケーション開発に関しては WebMatrix に A+ の評価を与えたいと思います。" – モバイル開発ギークで ASPInsider の Chris Love 氏の評価だ。
Microsoft の Web プラットフォーム & ツールチームに所属する Vishal Joshi 氏によると,同社がフィックスしたバグは 100 個以上あるが,その大部分が Stackoverflow などのサイトで報告されたユーザからの声によるものだ。
Microsoft のプリンシパルアーキテクトである Mikhail Arkhipov 氏によれば,WebMatrix は Visual Studio 2010 の JavaScript エンジンをベースとしているので,JavaScript v5 特有の構文はサポートしていない。そのため JavaScript v5 のシンタックスを使用したファイルでは,intellisense 処理が部分的に失敗する可能性がある,ということだ。同じ理由で Visual Studio 2012 の JavaScript エンジンで導入された高度な新機能,例えば 'goto 定義' コマンドなどは WebMatrix 2 では提供されない。
氏はまた,WebMatrix では汎用的なオープン MEF ベースの拡張モデルを採用しているので,Visual Studio の拡張機能が使用できないという点についても注意を促している。