Apache Software Foundation (ASF)はApache Flexがトップレベルプロジェクトへ昇格したことを発表した。AdobeがSDKのソースコードとツールなどASFへ委託してから約1年のインキュベーションを経ての昇格だ。Apache FlexのVPであるAlex Harui氏はTLPになったことは“Apache Flexが'The Apache Way'に従い、自治能力を持ち、ASFコミュニティの一員であることを約束することを示している”と考えている。この昇格は2012年12月19日に投票が行われ、その1週間後に最初のリリースが行われた。
Apache Flex 4.9.0には多くの機能追加が行われ、“多くの”バグが直された。
- 言語のローカライゼーション: オーストラリア、イギリス、カナダ、ギリシャスイス(ドイツ)、ポルトガル
- Flash Player 10.2-11.5で動作するようコンパイルされたSDK。以前までSDKはFlash Player 11.1でしか動かなかった。この制限はAdobeによって意図的に導入されていたようだ。こうすることでコードの変更が不必要で最小限の構成ファイルの変更だけで済むバージョンのFlashで動作するようにしたのだ。FLEX-33108によれば、今回の機能強化はFlashのアップグレードが迅速にできない企業に役立つだろう。
- SDKはJavaでコンパイルできる。
- Flex InstallerはWindowsとMac OS Xで利用できる。
近い将来、チームはJenkinsでMustellaを動かせるようにするつもりだ。MustellaはFlexのテストフレームワークでAdobeが開発した多くのテストスイートが同梱されており、新しいFlex SDKと古いバージョンの互換性が確認できる。また、ActionScript用のFalconの改善、“MXとSparkの機能をなるべく同等にすることやMavenのサポートを強化すること”も計画している。
FlexがTLPになったのは開発者にとっては大きなニュースだが、将来についての疑問は残る。ApacheはFlexについて、Flashアプリ構築のためのクロスプラットフォームであり“すべてのメジャーなブラウザ、ディスクトップ、スマートフォンとテレビを含むデバイス”で動作すると喧伝しているが、Adobeがモバイル向けのFlashの開発を中止しゲームと高品質なビデオの再生にFlashの用途を限定したことを考えた場合、モバイルでのFlexの未来はどうなるのだろう。2012年、Flashは何度かリリースされ、11.2から11.5になったが、どれもがゲーミングや大きなバグ修正に関連したものだった。11.4からはStage3Dハードウエアアクセラレーションを利用するためにはFlashのコンテンツはライセンスが必要だ。ライセンスがなければコンテンツはソフトウエア内で描画される。
Apache Flexには明るい未来があるとは言えないようだ。複雑でレガシなFlashアプリケーションを持っている企業が必要とするメンテナンスを提供していくのが主な役割になるだろう。HTML5がまだ未成熟でFlashが持つ特徴を備えていないので、まだFlashの寿命は尽きない。しかし、Adobe、Apple、Google、MicrosoftはHTLM5に多大な投資をしており、ブラウザを支配したユビキタスなプラグインであるFlashから遠ざかっている。