アジャイルの正しい実践方法に興味があるアジャイルコミュニティで議論が起こっている。you’re doing better than you thinkという記事でJason Little氏はアジャイルの実践方法について教えてくれる人にどう対処すればいいかについて自身の考えを披露している。
アジャイルコミュインティはあなたやあなたの組織の間違いを素早く指摘します。‘スクラムの仕方が間違っている’、アジャイルの‘仕方’が間違っているというようなたわごとを言います。でも間違っていないことについてはどうでしょう。
氏の考えではアジャイルとは“アジャイルすること”でも“アジャイルになること”でもない。アジャイルは振る舞いを変え、進歩することだ。
数ヶ月前と振る舞いが違っているので進歩しているのがわかります。1年後と今日の生活について、どんなに仕事が改善されているかについて、皆が語ってくれるので進歩が起きているのがわかります。
Jason氏は上手くいっていることに着目して誇りを持つことを薦めている。
私は組織が十分に時間を使って上手くいっていることを見つけているとは思いません。あらゆる場面で間違ったことをしていると告げる人がいるからです。(…) 私自身が属している組織の人々はもっと自身の進歩に誇りを持つべきだと思います。(…) 胸を張ってください。私は皆さんを誇りに思います。
Tommy Bryntse氏はwhat is agileと題した記事で、アジャイルを実践していると自称する組織に対して批判的に論じている。そして、アジャイルであるときついて、アジャイルでないときについて、考えを披露している。
アジャイルとはアジャイルマニュフェストの価値です。マニュフェストには12の原則があります。それ以上ではありません。(…) アジャイルになることとは、アジャイルマニュフェストの価値に従うことであり、12の原則に従うことです。もしそうでないとしたら、アジャイルではありません。
アジャイルマニュフェストの価値と12の原則に従っていないのならアジャイルを自称するのは止めるべきだと氏は主張する。そして“アジャイルではない”ということを示すチェックリストを提供する。
毎日スタンドアップミーティングをやったり、タスクに分割されたストーリーが記入されているボードを持っているからといって、アジャイル開発をしているとは言わないでください。(…) アジャイルであるためには、上のチェックリストでチェックしてください。該当する項目があるなら、あなたはアジャイルではありません。そうはいっても、あなたが実践していることやめてください、と言っているわけではありません。あなたが実践していることはより優れたソフトウエアを提供するのに役立つでしょう。本当にアジャイルを実践していないのであれば、アジャイルを自称するのを止めてください。
InfoQのインタビューでJeff Sutherland氏はアジャイルマニュフェスト発表から10年間を振り返り、アジャイルしているかしていないかについての自身の考えを披露している。
(…) スプリントの終わりに動作するアプリケーションが出来上がっているのはとても難しいことで、半数のアジャイルチームは達成できていないでしょう。しかし、これは致命的に重要で基本的なことであり、これを達成できていなければアジャイルとは言えません。
また氏はスクラムの使い方や、良いスクラムと悪いスクラムについて例を上げている。
(…) 優れたスクラムは10倍素早いです。そして、10倍素早いことを示すデータがあります。
[スクラムを成功させるには]第一に、スプリントの終わりにリリース可能なソフトウエアができていることです。(…) そして、最も重要なのがスプリントで実施するバックログです。バックログが用意できていなかったり、明確でなかったり、大きさが適切でなかったり、チームが理解できなかったりしたら、チームは見積もりができません。
Kenと私がスクラムを開発したとき、私たちが持っているソフトウエアに関するすべての知識を動員しました。しかし、わかったのは、スクラムがリーンでなかったらそれは悪いスクラムだということです。リーンを実践すれば、無駄が排除されます。スクラムは障害を排除する方法であり、それは無駄を排除するのと同じです。
the baby and the bath waterという記事で、Jim York氏はアジャイルの技法やツールをどのように扱うかについて書いている。氏はアジャイルの何を使うか決めることについて次のようにアドバイスする。
スクラムの基本的な前提は、今実践していることが上手くいっているなら、それを続けなさい、ということです。逆に言えば、上手くいっていないなら変える必要があります。スクラムはどのアジャイルの方法が適しているか定めていません。むしろ、チームが自分たちで発見し決められる余地を残しています。この“発見する”ということがスクラムを実践する上で難しい点です。
何が上手くいき、何が上手くいかないのかを学ぶことで組織自体がアジャイルの招待を見つけるべきだ、というのが氏の考えだ。
私はスクラムを学習を促進させるためのフレームワークであると考えることを好んでいます。ひとつひとつのスプリントが実験であり、学習機会なのです。(…) 組織は漸進的に製品を作るプロセスについて学びます。この学習の成果はプロセスの改善するための変化として現れるでしょう。