GoogleはMPEG LAの所有する，VP8に不可欠なアルゴリズムのライセンスをすべて取得した。合わせてサードパーティ開発者に対してVP8をロイヤリティフリーでサブライセンスする権利も獲得し，VP8コーデックの広範な採用に向けて道を開いた。
Googleは先程，MPEG LAおよび特許を保有する11社に対して，"VP8に不可欠と思われるすべての技術" のライセンス提供に関する合意に至ったことを発表した。合わせてVP8の実装である libvpx および VP8データフォーマット仕様 を使用するサードパーティに対して，これらの技術を無償でサブライセンスする権利も取得した。契約に関する金銭面の条件は明らかにされていない。
MPEG LAも今回の合意について 発表する と同時に，今後VP8のパテントプールを形成する意思のないことを表明している。さらに今回の合意によって "Googleとの契約が容易になり，VP8が広くユーザに普及する" ことを歓迎する，とも述べている。
Googleは今後数週間内にサブライセンス許諾条件を公表する意向である。しかしGoogleがこれまで "誰でも利用可能で，未来のイノベーションを引き起こすような，オープンでロイヤリティフリーなビデオコーデック" を提供する，という意図を繰り返し述べていることから，どのようなものになるかは想像に難くない。"今回の発表は，その目標に向けての重要なステップなのです。"
これによって ライセンス面での議論 はもはや問題ではなくなり，GoogleやMozilla，OperaはVP8を推進することが可能になる。 StatCounter によると，ブラウザ市場におけるこの３社のシェアは，合計で約60%であるという。しかしながら，VP8が十分なパフォーマンス向上を提供するものだとWebサイトマスタやCDNたちが認めない限りは，コーデックとしての幅広い普及は望めないだろう。一方でGoogleは先頃，近いうちに すべてのイメージをWebPフォーマットに変換および最適化するプロキシを，Chrome for Androidで採用する予定 である，と発表した。WebP はVP8のアルゴリズムを転用したイメージフォーマットである。Googleによれば，ロスレス画像の場合はPNGに比較して25%，非可逆フォーマットならばJPEG比較で25～34%のイメージサイズ縮小が可能だという。