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プライバシ法に違反するモバイルアプリ開発者たち

原文(投稿日:2013/05/09)へのリンク

カリフォルニア州司法長官 Kamela D. Harris 氏の 2012年2月22日の発表 には,連邦取引委員会(FTC/Federal Trade Commission) の次のような調査結果 が引用されている: '現在ダウンロード公開されているモバイルアプリの大半は,もっとも基本的な個人情報保護さえ実装していない。' FTC の確認によれば 'プライバシポリシを備えたモバイルアプリは,全体の5%に過ぎない' のだ。

 

カリフォルニア州プライバシ法に対する Harris氏の画期的新解釈に続いたのは,100 のアプリ開発者に対する,2012年10月の不吉な警告 だった。

 

今日の多くのアプリ開発ツールが,ポイント&クリック的な操作方法を装備している。おかげで比較的経験の少ない開発者でも,モバイルアプリを開発することが可能になった。このため開発者の何%が,潜在的なプライバシ上の危険が数多く待ち構えるモバイルアプリのユーザへの警告として,コンテキストとタイミングに適切に対応した プライバシ声明(privacy notices) を挿入する,という処理の実装に必要な技術的能力を実際に保有しているのか,という調査の実施が困難になっているのだ。

 

あるいはアプリ開発者が 最高レベルのギーク であれば,複数のコード言語を手際よく使い分けて,包括的な個人情報保護施策に関する法的義務を果たしてくれるかも知れない。しかし彼らとて,自分たちのモバイルアプリが広告代理店やMBaaS (Mobile Backend as a Service) プロバイダ,あるいは他のサードパーティ企業に,テキストや写真,位置情報,オーディオやビデオといったユーザの 個人情報 を横流しすることができると知れば,何らかの妥協をする可能性もあるのだ。

 

そのような状況のため,モバイルアプリ開発者の大部分が,カリフォルニア州合衆国,さらには 国際個人保護法 に違反している可能性は極めて高いと言える。特に 子供 が相手の,ゲームのようなアプリを書いている場合はなおさらだ。

 

問題をさらに複雑にしているのが,開発者はプライバシポリシを組み入れた上で,モバイル機器の小さなディスプレイにそれが常時表示されるように配慮しなければならない点だ。

 

今日のモバイルエコシステムの活発な様子は,かつての ワイルド・ワイルド・ウエスト の時代にもなぞらえることができる。 時には法律が執行されるが,インターネットの広大さの中に失われてしまうことの方がはるかに多い。

 

サイバー文明が発展するにつれ,司法当局は遅かれ早かれ手綱を取ろうとするだろう。そこにおいて共同体というメリットは形無しにされ,さらにはインターネットをインターネットたらしめる不確実性も損なわれることになる。

 

モバイル開発者と 共謀者 たちによる広範な義務不履行があるとすれば,それに対してモバイルエコシステム全体を効果的に監視し,ユーザのための真のプライバシー保護を設定するために,最終的な費用 がどのようなものになるのかはまだ分からない。さらには,基本的にはひとつの大きなパーティラインである,というオンラインでの交流の性質が,そのような概念を妨げるかも知れないのだ。

 

モバイルデバイスユーザが適切な考慮や保護を受けていたとしても,予想不可能な拡大を続ける テクノロジの力 によって,プライバシがあたかも世界平和のような,実現不可能な概念的理想と化してしまう可能性もある。

 

readwrite.com におけるコミュニティメンバの何人かは,モバイルプライバシ 活動が結実することに対して懐疑的だ。Robyn Tippins氏は,

間違っているかも知れませんが,私にはこれが,すぐに実施可能な命令に変わるとは思えないのです。

 

 

またTony Phelps氏は,

目標にする相手が違います。アプリ開発の非技術的なビジネスサイド – 多くのアプリを管理し,出資している側です – はプライバシを重要な情報を見ていますから,採用しないでしょう。

 

 

このような異論はあるものの,モバイル開発者が 関係機関全体 に対して,子供だましのような言い訳 を求められる日は遠からず来るかも知れない。

 

 

 

 

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