DevOps Days Amsterdam の初日は,継続的デリバリ (continuous delivery) とオートメーションの側と,組織内の DevOps文化を 促進する側の間で,関心の的が分かれていた。継続的デリバリの話題では,デリバリのパイプラインを自動化する方法に加えて,システム障害時における自動復旧の手法が注目を集めていた。文化に関する側の議論では,文化的変化の導入を成功させる上で個々の性格タイプを考慮する必要性や,企業文化の確立が雇用にもたらす肯定的影響などの成果があった。
Opscode のMichael Ducy氏は,The Big Lebowski (米国のコメディ映画) に登場するキャラクタと,IT組織の典型的な性格タイプとの類似性を交えた面白い話をしてくれた。ITを推進するにはさまざまなアプローチを適用する必要がある。選択のポイントは,組織内のパーソナリティのタイプだ。疑り深い人を説得するには,彼らが間違っていると証明する論理的根拠が必要である。ビジネスパーソンに対しては,ビジネス指標によって変化の収支を提示しなければならない。専門家は組織において自他共に認める権力の所有者であるから,それを認めるだけでなく,彼らに一目置かせるために,時には反論してみせることも必要になる。すべてに共通する方針は,ステークホルダに積極的に変化を働き掛けて,彼らから意思決定者に積極的に働きかけてもらう,ということだ。
AWS のJonathan Weiss氏が注目したのは,システムの障害回復力についてである。氏はその方法として,稼働中のシステム機器の積極的かつ頻繁なリプレース,バックアップからのデータのリストア,Chaos Monkey の導入,といったものを挙げている。これらはすべてシステムが,障害から自動的な方法でリカバリ可能であることを保証するためのものだ。氏は継続的デリバリのパイプラインに,ワンボックスデプロイメントを導入するように提案する。これは最初に1台のマシンにデリバリした後,その(技術的およびビジネス的な)指標を一定時間にわたって監視して,それらが全機器の 標準変更 にフィットすることを確認する,という手法である。それが終わった後,残っているマシンに変更をプッシュすればよいのだ。
John Willis氏も,Dev Ops Days Austin で行った自身の最初のセッションで,同じことを述べていた。氏は 雇用のための秘密兵器 として,一致した行動に裏付けられた,強い文化を育て上げることだ,という主張をしている。潜在的な作業者はそのような文化と一体であり,そうあるべきなのだ。強烈なアイデンティティを持った企業,例えばEtsy(コード職人の集団),Github(マネージメントレベルまで共有),Netflix(自発的に行動せよ,言い訳はするな)などは,人材不足の市場においてさえも,その文化にマッチした人々を惹きつけて止まない存在なのだ。
Schuberg Philisのセキュリティ担当者であるFrank Breedijk氏は,セキュリティ とDevOpsの間にある干渉点を指摘した上で,それを回避して両者がコラボレートする方法を示している。 具体的には,セキュリティテストと環境を自動化すること,セキュリティ監査のスコープをシステムコンポーネントに関連する部分に制限すること,セキュリティフィックスに関する運用システムの修正手続きの省略を認めることなどが挙げられる。
午後は,組織へのDevOpsや継続的デリバリ導入に関わる オープンソース の話題を中心に,アジャイル開発の運用要件やいくつかのデモ,ツーリングに関する議論などが行われた。
遠隔地からの参加希望者のために,カンファレンスは ライブストリーム されている。