Dartの最初のアナウンスから20ヶ月、Dart言語とそのVMがマイルストーンM5でベータになった。最新リリースには多数の改善が含まれているが、その中でも重要なのが、エディタ、VM、そしてdart2jsに関するものだ。
Dart Productivity EnhancerであるRubel氏によると、Eclipseエディタを使って組み込まれたDartのコードアナライザは完全に書き直され、20%高速になったそうだ。また、コード入力時にエラーや警告も出してくれる。コード補完はキャメルケースを理解するようになった。すべてのコードと追加ファイルを1つのディレクトリに生成してWebサーバにロードできる状態にする、新しいPub Deployメニュー項目も追加された。
4月にリリースされた前のM4バージョンと比べて、VMはDeltaBlueで40%、Tracerで33%高速になった。SIMDも改善された。Dart開発チームはSIMDの実装によって、WebGL、Canvas、アニメーション、物理シミュレーションなどで使われるデータ量の多いアルゴリズムの処理スピードを2倍から3倍改善し、Webアプリケーションのパフォーマンスを新たなレベルに引き上げることを期待している(PDF)。
dart2jsコンパイラは3.7倍小さなコードを生成するようになり、M4と比べてDeltaBlueで10%、Richardsで20%、Tracerで8%、パフォーマンスが改善された。
開発チームは、 HTML5 Web Componentsを使ったWebアプリケーションを構築するためのライブラリであるPolymerを利用して、Web UIの再実装にも着手した。
リリースノートには改善点の全リストが含まれている。
Dartはベータになったが、いつChromeに組み込まれるかについては言及されていない。しかし、Dartプロジェクトの共同創設者であるLars Bak氏とKasper Lund氏は、DartはGoogle内で強力に支持されていると、Q&Aセッションで開発者を安心させた。
DartはGoogle Chromeに搭載されることになっており、社内の重要プロジェクトで使われ、コミュニティも成長しています。DartはChromeからのコミットメントを得ており、大きく経験あるチームがそれに取り組んでいます。チームはDartを標準化団体に置く方法を検討しているところです。
将来の言語機能については、enumを導入する計画があり、asyncに関する機能を調査するそうだ。パフォーマンスについては、V8の2倍を計画しており、これはすでにDeltaBlueとTracerで達成している。また彼らは、Intel AVX 256ビット命令セットのサポートも検討している。
新しいAVX命令セットを利用することを計画しています。例えば、新しい256ビット幅レジスタにフィットするFloat32x8型を追加したり、新しいgather命令とpermute命令を使うなどです。
また、彼らは「現時点でDartにGPUプログラミングサポートを追加する」つもりはないそうだ。
GoogleはDartがどれくらいベータ状態にあるか言及していないが、エンジニアの1人によると、この夏か秋ぐらいに最終リリース(1.0)になることを期待されているそうだ。