Google App Engine(GAE)に新たなサービスが追加された。最大20GBのメモリを有する専用キャッシュへのアクセスと,アプリケーションをステートレスでセキュアなサービスを提供するモジュールに分割する機能だ。
専用Memcache
GAE上で動作するアプリケーションは通常,わずか1MBに制限された共有メモリキャッシュを使用している。しかもこの容量は保証されたものではなく,SLAの対象外である。唯一のメリットは,それが無料であることだ。Googleが新たに導入したキャッシュサービスでは,最大20GBの専用キャッシュが用意されるようになる。0.12ドル/GB/時のコストで,最大10k ops/秒/GBのパフォーマンスが手に入る。
専用キャッシュサービスは現在,米国内のみを対象として,プレビューモードで提供されている。現時点ではSLA対象外だが,サービスの一般利用が可能になった時点ではSLAが提供されるものと期待される。
モジュール
Google App Engine 1.8.2では,規模の大きなアプリケーションを独立した モジュール に分割するオプションが導入された。各モジュールは,ステートレスなサービスを安全な方法でシェアすることができる。モジュール機能は,サポート対象のすべての言語で使用可能だ。
実行中の各モジュールは複数のバージョン,あるいはバージョン毎の複数のインスタンスを持つこともできる。インスタンスにはそれぞれ,ユニークなURIを通じてアクセスする。クライアントが発行するサービス要求は,URLアドレスの表記規約とディスパッチファイルに基づいて,適切なインスタンスにディスパッチされる。スケーリングのタイプによっては,必要に応じてインスタンスが生成されることもある。指定可能なスケーリングタイプは次のものだ。
- Manual – モジュールは実行を継続する。
- Basic – インスタンスは要求到着時に初期化され,アプリケーションがアイドル状態になると終了する。
- Automatic – GAEの一般的なスケーリングタイプ。インスタンスは使用状況と設定に基づいて起動および停止する。
Push-to-Deploy
GAE 1.8.1で導入されたPush-to-Deployによって,GitリポジトリにストアされたPythonおよびPHPアプリケーションを,簡単な操作でデプロイできるようになった。ブランチをmasterにプッシュすると,コードが自動的にGAEにデプロイされる仕組みだ。この機能のセットアップや利用方法に関する詳細は,こちらの資料ページに説明されている。
その他
Google Plug-in for Eclipseに,Web Tools PlatformとEARファイルのフルサポートが追加され,すべてのプラグインが利用可能になった。
PHPランタイムとCloud Storageとの統合性が改善された。
Pythonインタプリタが2.7.5にアップデートされた。
その他にも,サポート対象言語すべてにわたって,多数の小規模な改良やバグフィックスが行われている。