VisionMobileの調査結果が公開された。これはマーケット、開発者のマインドシェア、好みのプラットフォーム、収益、開発者のモチベーションといったモバイル業界の現状を評価したものだ。
モバイル業界の現状を評価しようと、VisionMobileは今年の4、5月、6,000名以上の回答者と21名の1対1インタビューからなるオンラインサーベイを実施し、エコシステム、開発者のマインドシェア、収益モデル、開発ツールについて調べた。そして、その結果をDeveloper Economics Q3 2013: State of the Developer Nationとして公開した。サーベイは10カ国語に翻訳され、世界115か国のエージェンシー経由でアクセスできた。このサーベイでは、モバイルプラットフォームを使っている開発者のみを考慮している。このレポートから得られた興味深い発見を以下に抜粋する。
マーケット
はじめて、出荷台数でスマートフォンがフィーチャーフォンを上回った。これは2013年Q1のスマートフォン市場の75%を占めている安価なAndroidデバイスによるものだ。一方、iOSは18%を占めている。Microsoftは3%で依然として苦しんでいる。
レポートによると「彼ら(Windows、Blackberry、Bada、Symbianなど)がAndroidとiOSの寡占状態に取って代わることは、ほとんど不可能」であり、最強のチャレンジャーですら、莫大なお金と開発者パワーを投じたにもかかわらず、うまくいっていない。
Windows Phoneに推定50億ドル以上を投じたMicrosoftですら、プラットフォームをローンチしてから2年半経ても、たった3%のスマートフォン売上シェアを確保するのがやっとなのです。
レポートの著者は、直接競争するのではなく、「現代のエコシステムのコントロールポイント、アプリ開発、アプリの配布と消費」に挑み、「非対称競争(asymmetric competition)」することを提案している。これはまさにAmazonとFacebookがやっていることだ。モバイルエコシステムの3つのコントロールポイントとは、以下の図にあるように、Service Creation、Distribution、Consumptionを指している。
マインドシェア
開発者のマインドシェアに関して、このレポートによると、開発者の好みはAndroidとiOSがそれぞれ71%と57%で抜きん出ているが、2012年に76%と66%だったのと比べると、若干減少している。興味深いことに、HTML5が52%で3番手につけており、Windows Phoneは2012年の37%から21%にダウンしている。
Samsungは2011年と2012年にWindows Phone以上のBadaデバイスを売ったが、開発者のマインドシェアは落ち込んでおり、トップ10にも登場しない。著者は「SamsungのBadaは終わっており」、これは「ユーザの選択だけでは新しいアプリエコシステムを構築するには不十分であるという、アプリのエコシステムを支配するネットワーク効果の興味深い事例」だと考えている。ここから次のような結論を導いている。
ポジティブなフィードバックループには、増加するユーザベースから利益を得る開発者が含まれている必要があります。開発者がそのループから外れていると、必要なネットワーク効果は生まれず、そのプラットフォームは成長しないでしょう。
プラットフォーム
このサーベイによれば、開発者は平均で2.9のプラットフォームを使っており、収益、広がり、配信スピード、コスト、アプリ発見、開発環境に基づいてプラットフォームを選択している。好まれている(第一の)プラットフォームは、Android (34.4%)、iOS (32.7%)、そしてHTML (17.3%)だ。
第一プラットフォームは新しいアプリや新機能の最初のターゲットとなり、最も注目され、投資されることになる。Androidがリードしているのは、新しい開発者はiOS (21%) よりもAndroidを好んでいる (40%) という事実によって説明される。また、ゲーム開発者はわずかにAndroid (35%)よりもiOS (37%)を好んでいるが、音楽やビデオ系の開発者はAndroidの方を好んでいる(36% vs. 29%)。
開発者の忠誠心を調べるため、回答者に毎日使っている主たるプラットフォームについて尋ねた。すると以下にあるように、たいていの開発者は個人利用ではiOSを好んでおり、その後にAndroidとHTML5が続くことがわかった。
収益
収益に関して、iOSが$5,200/開発者/月でリードし、これに$4,700のAndroidと$3,600のWindows Phoneが続いている。次のチャートは開発者1人当たりの毎月の収益を第一プラットフォームごとに示しており、「委託開発、広告、電子商取引、ライセンスフィーのようなアプリストア収益を超える収益を含んでいる」
開発者
このレポートでは、Jobs–to-Be-Done手法を使ってモバイル開発者を分類している。その結果、Hobbyists、Explorers、Hunters、Guns for Hire、Product Extenders、Digital Content Publishers、Gold Seekers、Enterprise IT developersという8つのセグメントがあることがわかった。サイズ、好みのプラットフォーム、収益を次のチャートに示す。
HuntersとGuns for Hire – 「アプリ経済からの収益を求める人」 – 開発者の42%、アプリ経済収益の48%を占めている。彼らはiOSを好んでいる。
ExplorersとHobbyists – 「学び、楽しみ、自己改善を求めている人」 – モバイル開発者の33%、アプリ経済収益の13%を占めている。彼らはBlackBerry 10とWindows Phoneを好んでいる。
Product Extenders、Enterprise IT developers、Digital Content Publishers、Gold Seekers – 「ビジネス拡張を目的としている人」 – 開発者の29%、アプリ経済収益の39%を占めている。彼らはAndroidとHTML5を好んでいる。
以下にあるように、モチベーションに関して、多くの開発者が個人的な達成感を挙げており、それに商業的成功とコミュニティからの感謝が続いている。
ここでは触れなかったが、レポートには他にも次のようなトピックスが含まれている。HTML5、タブレット、アプリケーション経済、収益モデル、開発者のインテントシェアなど。