先週の週末は,Debianの20回目のバースディだった。現在も継続している中では最古のLinuxディストリビューションである。Debianは1993年の8月16日に誕生した。名前は Debra Lynn氏とIan Murdock氏に由来する。(その次に古いディストリビューションはRed Hatで,1994年10月に生まれている。) バースディパーティは,DebConと併せて行われた。
Debianはフリーソフトウェアとの結び付きが強く,当初はフリーのリポジトリを通じてのみ公開されていた (後に他の形式も追加されているが)。Debianが導入した 'apt' パッケージマネージャは,その後の派生ディストリビューションでも (Ubuntu, Knoppix, XMBC, Mint, そしてもちろんRaspbianにも) 使用されている。リリーストレインの名前は,1995年に公開されたオリジナルのToy Storyのキャラクタから付けられている。最初の映画に出ていた壊し屋の子供Sidの名前は,不安定でリリースされないことを表すシノニムとして使用される。(Debian 1.0は公式にはリリースされなかった。最初のDebianディストリビューションは1.1,コードネームBuzzとして1996年6月にリリースされている。)
Debianはまた,もっとも広範なハードウェアをサポートするLinuxディストリビューションのひとつでもある。ディストリビューションで使用されるカーネルだけでなく,パッケージの大部分についても,複数のプラットフォーム用にコンパイルされている。Debianに報告されるバグのパッチは特定プラットフォーム用であることも多いが,これらはパッケージメンテナの方へと上げられて,次期リリースに収められるようになる。このことはコードの品質についても当てはまる – Debianツリーの構築には現在GCCが使用されているが,Clangを使ってDebianとそのパッケージを自動的にビルドする並行実装が存在していて,GCCでは検出できないプログラムエラーを捕捉しているのだ。
Debianの安定リリースは,既存のLinuxディストリビューションの中でもっとも安定しているもののひとつとして,業界の多くから認知されている。リリース後の変更が最小であることに合わせて,安定リリースを最新にするセキュリティフィックスのバックポートが優秀であるためだ。しかし皮肉なことにこれが,Debianの変種を数多く生み出す原因のひとつになっている – Debianは2000年まではほぼ年1回のペースでリリースされ,その後は2年に1回になっているが,Debianシステムのユーザの中には性急に不安定版をダウンロードして,そちらを使用しているものがいるのだ。Ubuntuは不安定版ツリーのスナップショットを使用して,より中間的なリリースを6ヶ月ベースで実施するために開発された。DebianとUbuntuに全般的な互換性はあるが,将来的には分岐する可能性もある。Debianの開発者であるIan Murdock氏もかつて,この2つが過剰に分離してしまうのではないかという懸念について語ったことがある。Debianにはまた,サーバサイドのディストリビューションと捉える向きも一部ではある。したがってUbuntuなどの組織が,もっとデスクトップオペレーティングシステムとしてのLinuxを重視した開発を行うならば,プラットフォームを新たに利用しようというユーザの選択が簡単になるだろう。
最後に,DebianはLanguage Benchmarks Gameベンチマーク (以前はLanguage Shootoutとして知られていた) のベースパッケージでもある。ベンチマーク結果はhttp://benchmarksgame.alioth.debian.orgに公開されている。このベンチマークは同一バージョンのソフトウェアとカーネルを使用して,各プラットフォーム用にパッケージをコンパイルし,言語とランタイムの相対的パフォーマンスを評価するものだ。
コードネームWheezyと名付けられたDebianの現行リリースは7.0で,debian.orgで公開されている。Alex Blewitt氏はDebian 0.9xの頃からのDebianユーザである。