Oracleはすべてのプラットフォーム(Windows, Mac OS X, Linux, Solaris)を対象に，初のJava 8開発者プレビューをリリースした。
”今回のマイルストンは，開発者による広範なテストを目的としたものです。" JavaプラットフォームのチーフアーキテクトであるMark Reinhold氏は，自身のブログに書いている。
サポートする全プラットフォームを対象に，すべてのテストを実施しました。大きな問題は見つかっていません。6月のFeature Completeマイルストン以降に発見された，数多くのバグも修正されています。
この初期アクセスリリースには，最新のセキュリティパッチが適用されているとは限らない。その点には注意が必要だ。しかも想像するとおり，バグや未対応機能がいくつかある。その中でも，新しいDate and Time APIのソースコードとJavaFX用のメディアクラスのJavaDocが欠落しているのは問題だ。
"これから10月末までは，いつものバグ報告チャネルを通じて受け取ったフィードバックをすべて確認，評価し，対応することに全力を尽くしたいと思っています。" とReinhold氏は言う。"それ以降はコードの安定を図るために，徐々に変更量を減らしていくつもりです。従って遅い時期に報告を受けたバグについては，GAリリースの時点では修正されないかも知れません。"
Java 8の注目機能はProject Lambda(JSR 335)である。マルチコアプロセッサ用のコード記述を容易にすることを目的としたもので，ラムダ式そのものと同じように，新たにメソッド参照 (すでに名称を持っているメソッドを参照するコンパクトなラムダ式) とデフォルトメソッド (インターフェースを実装している既存コードを損なうことなく，新たなメソッドをインターフェースに追加するためのメカニズムを提供する) を追加する。さらにライブラリを拡張して，ストリームデータ処理の並列化もサポートする。
チームではかなり以前から，Lambdaリポジトリにあるプレビュービルドを公開していたが，開発者プレビューフェーズの開始に伴ってそれは廃止される予定だ。
Lambdaプレビュービルドは，テストを実施し，コミュニティからのフィードバックを獲得する手段として非常に有効でした。ダウンロードとビルド試行の時間を割いて頂いたすべての方々の努力とともに，自分自身でビルドを構築した方々にも感謝します。皆さんのフィードバックとバグ報告は，Project Lambdaを成功させる上で，無くてはならないものでした。本当にありがとう！
Lambda以外にも，Java 8には新たにDate & Time API(JSR 310)と，JavaScriptエンジンのNashornが加えられている。しかしながら，それよりも議論の的になっているのが，HotSpot仮想マシンの永続世代(Permanent Generation)が廃止されたことだ。
Java 8ではまた，コンパクトプロファイル(Compact Profiles)という概念も導入されている。これはプラットフォームの全機能を必要としないアプリケーションを，小規模なデバイスにデプロイ可能にするためのもので，Java ME CDC (Connected Device Configuration)上に構築されているアプリケーションを，Java SEプラットフォーム上の適切なプロファイルにマイグレーションすることを目的としている。その意味で言えば，CDCをJava SEプラットフォームに収束させるための長期的活動の一環と考えてもよいだろう。
Java SE用のプロファイルは，Java EEで使用されているコンセプトとは若干の相違がある。Java EEのプロファイルはJSR仕様を集めたもので，実装時にはプラットフォームのサブセットという形式を取る。一方Java SEでは，プロファイルはパッケージのリストとして指定する。
Java SEのプロファイルが追加されたのは，モジュラリティソリューションとしてのJigsawに関する，現在も進行中の問題によるものだ。Jigsaw自体は先日，再度の出直しが決定されている。
Java 8は当初，今月のリリースを予定していた。しかしながら，最近になってプラットフォームを悩ませている多数のセキュリティ問題により，Oracleは賢明にも，一般公開を2014年第１四半期まで延期することを決めていた。