iOS 7のリリースによって,iPhoneアプリケーション全体のインターフェースデザインが更新された。同時にアプリケーション開発者も,自分たちのiPhoneアプリを新たなHuman Interface Guidelinesに適合させるべく,ユーザインターフェースの改訂を余儀なくされている。しかしながら,オペレーティングシステムのフラグメンテーションが大きな問題にはなっていないiOSの世界でも,以前のバージョンに留まろうとするユーザは存在する。Human Interface Guidelinesに従うならば,iOS 7用にデザインされたアプリでは,それらのユーザに対して不適切なのだ。
これまでiOSのユーザには,AppleのApp Storeで公開されたアプリケーションの最新バージョンをダウンロードすることしか許されていなかった。アプリケーションが新しいiOS用にアップデートされた場合,古いバージョンを使用しているユーザがそのアプリをダウンロードしようとすると,まず最初にオペレーティングシステムをアップグレードするように要求されていた。所有しているデバイス用のiOSの新バージョンがなかったり,あるいはユーザがアップグレードを望まなければ,そのアプリケーションをインストールする手段がなかったのだ。
今回のiOS 7リリースに合わせてAppleは,iTunes Connect Developer Guideを更新して,以前のバージョンのアプリケーションをダウンロード可能にすると発表した:
アプリケーションを購入済のユーザは,以前のバージョンを再度ダウンロードすることが可能になります。これによって,現行のバージョンのアプリではサポートされなくなった古いデバイスをお使いのユーザも,アプリを使用できるようになります。このようなバージョンの公開を希望しない場合は,iTunes ConnectのYour AppsモジュールにあるRights and Pricingセクションを使用して,旧バージョンのアプリの可用性を管理してください。
開発者にとってこれは,アプリケーションのアップデート,サポートするオペレーションシステムのバージョンあるいはデバイスに関して,一定の柔軟性を与えてくれるものだ。iOSのメジャーアップデートではすでに対象外となっているiPhone 3Gや3GSなどのデバイスに対しても,サービスを継続することが可能になる。同時にアプリケーションの現行バージョンでは,デバイスの新しい機能やユーザインターフェース要素を使用できるようになる。