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英国における巨大アジャイルプロジェクト失敗の原因調査結果

原文(投稿日:2013/10/02)へのリンク

英国監査局(NAO)の報告およびリークされたユニバーサル・クレジット(UC)事業の内部調査は、この事業の失敗の原因は、リーダシップと実践の貧弱さにあると非難している。

ユニバーサル・クレジット(UC)事業は、英国雇用年金局(DWP)のもとで実施されているもので、何百万人もの英国の受給申請者に対する給付金支払い業務を統合するものである。英国監査局(NAO)の報告および、リークされた内部調査は、UC事業のアジャイル適用プロセスをつぶさに観察しているが、同時にそのマネージメント、文化、IT の専門知識と統制に疑問を投げかけている。

UCは、2017年に稼働すると期待されたアジャイルプロジェクトであったが、2年後の今では、スケジュールは遅れ、予算オーバに陥ってしまった。この最重要なプロジェクトは、2013年10月の中間納品には間に合わないだろうし、ニュースサイトの"The Register"は、この政策のために使いものにならない ITソフトウェアとハードウェアで 3,400万ポンドがすでに無駄になったと報じている

アジャイル2.0
NAOの報告によれば、DWPは、過去2年半にわたるソフトウェア開発過程で、度重なる方向転換を行った。2010年12月に、DWPは納品の方法としてアジャイル方式を選択したが、しかしこれはレガシーアップデートやその他の契約のための既存の「ウォータフォール」方式との統合で困難にぶつかった。
2012年1月、開発方法論は『アジャイル2.0』に変更された。それは「ITプロジェクト管理のための、アジャイルの要素と伝統的な方式を統合しようとするハイブリッド方式」であり、DWPは2013年10月の試験的な納品物からその適用を開始した。2012年12月の最終的な法案への議会の承認は別の計画の引き金となった。その別の計画とは、2013年2月から3月までの期間と、それに続く100日間の計画策定作業を見直すものであった。
NAOの報告はまた以下の様に述べている。検討の結果、「内閣は、この見直しを実施しないかぎり、DWPがUC計画を管理していくためにアジャイル方式を適切に実施できるとは考えていない」

弱体化した管理と、細部へのビジョンの欠如
UCの内部調査結果がガーディアン紙に2013年8月にリークされ、次のように報じられた

このプロジェクトでは、戦略的リーダシップと呼べるようなものが全くと言っていいほど欠如している
現在のプロジェクト開発者たちの間には秘密主義的で敵対的な文化があり、スタッフや関係者に対して何がいつ起きるのかを説明するような、意味のあるメッセージのやりとりはごく僅かしかない。
不誠実さが満ち溢れ、誰も失敗を認めない。

昨年だけでも、UCプロジェクトの主な責務は5回変更された。NAOの報告は、「この部門では、IT専門知識と上級者のリーダシップが特に欠落しているが、それには上位管理方針の頻繁な変更が関係している。」と要約している。この規模のプロジェクトにアジャイルを用いることに関しても、専門知識が不足している。
DWPは、このプロジェクトに対する詳細な「計画書」、「構造設計書」、または「目標とする運用モデル」の欠如を監査人からずっと指摘され続けてきた。欠陥を修正するための努力は行われたものの、それは期待には届かず、2012年の中頃まで、DWPはどうやってほかのシステム群と統合するのか明示することができなかった。

新しいリーダシップの元で
2013年5月、オリンピック・パークを作ったことで有名な Howard Shiplee氏が、このUCプロジェクトを引き継いだ。 デイリー・テレグラフ紙の記事で、Shiplee氏は次のように述べている。

過去には、お粗末なプロジェクト管理の例がいくつもある。上手くいっている事だけに注目し過ぎたり、上手くいっていない事に注目が足りなかったり、サプライヤーがしかるべき状態にあるように管理されていなかったり、といった透明性の欠如がある。そうした手法に誤りがあることに疑いはない。しかし我々はそれを是正してきたのだ。

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