Embarcaderoが先頃リリースしたRAD Studio XE5は，AndroidとiOSをプラットフォームとしてサポートするとともに，PCやモバイルデバイスを対象とした真のネイティブアプリの開発が可能になっている。さらにコーディングの中でCPUの実行コードを使用することも可能だ。真のネイティブアプリであるというのは，開発したアプリケーションがデバイスハードウェア上で直接実行可能という意味である。スクリプティングやインタプリタ層を必要としないため，ユーザに最高のエクスペリエンスを提供することができる。
RAD Studio XE5では，プログラム言語として標準的なC++およびDelphiを使用して，複数のデバイスを同時に対象としたプロトタイプ，あるいはネイティブアプリを開発可能である。デバイス単位でプロジェクトやスケジュールを作成する必要はない。またRESTクライアントがサポートされ，ソーシャルネットワークやMBaaS，有償のサービスやストレージなど，任意のRESTベースのサービスに接続することができる。
"XE5はiOS，Androidのどちらにもデバイス検出のサポートを追加しました。iOS用で違う部分はデバイスの接続後，手操作でProject Managerをリフレッシュしなければならない点だけです。Androidの場合はマシンに接続するだけで，デバイスが自動的に検出されます。" Embarcaderoの技術責任者であるJose Leon氏はこう述べている。
InfoQは製品開発の責任者であるJohn Thomas氏から，RAD Studio XE5の便利さとメリットについて，さらに詳しく話を聞いた。
InfoQ: 開発者にとって，RAD Studio XE5にはどのようなメリットがあるのでしょう？
開発者へのメリットは大きく２つあります。ひとつは，現在のRAD Studioで記述しているiOSアプリと同じソースコードで，Androidをターゲットとすることが可能な点です。もうひとつは新しいRESTクライアントを使って，MBaaS(Mobile Backend as a Service)などの提供するクラウドサービスを容易に統合できることです。
InfoQ: AndroidとiOSのサポートが追加されたことのメリットは何でしょう？
おもに２つあります。ひとつにはAndoidユーザとiOSユーザという，最大規模の市場 (現在では全クライアントデバイスの50%以上を占めています) をターゲットにできるということです。２つめはFM Application Platformを使用することによって，まったく同じネイティブ言語のソースコードで，どちらもターゲットにすることができる点です。それによって，コンパイルされたネイティブコードによる最高のパフォーマンスが手に入るできるだけでなく，爆発的人気を持つ２つのモバイルプラットフォームをひとつのソースコードベースで管理できることで，ビジネス面においても巨大なメリットを享受できるのです。
InfoQ: RAD Studio XE5でアプリケーションを開発するためには，プログラミングの知識は必要なのでしょうか？
まあ，そうですね。RAD Studioは，ネイティブコード言語のDelphi (Object Pascal) とC++をサポートする開発ツールなのですから。これらはどちらも現代的なオブジェクト指向言語であると同時に，デバイス上では最高のパフォーマンスを提供してくれます。ネイティブコードにコンパイルされてCPU上で直接動作しますから，(JavaScriptのような)実行時のスクリプティングや，(Javaのような)仮想マシンの必要がないのです。同時にRAD Studioは，アプリケーションサービスのプラットフォームとしても，ユーザインターフェースコントロールやデータアクセス，マルチティアといった豊富な機能を持っていて，IDE内でビジュアルに設計できるようになっています。ですから，コードを通じて何かを行うことも可能ですが，アプリケーション部分の大部分はコーディングの必要なく開発することができるのです。
InfoQ: RAD Studio XE4と比較して，IDEに何か大きな変更はありますか？
IDEの更新は，おもにAndroidをプラットフォームターゲットとして追加するためのものです。ただしAndroidデバイスはとても種類が多いので，それに対応するための新しいデザインサーフェースを開発する作業が必要でした。現行のIDEは接続するデバイスを選択して，ターゲットとして設定できるようになっています。