SamsungがTizenプラットフォーム開発の延期を決定した。TizenはIntelとのアライアンスから誕生した,Linuxをベースとするオープンソースのモバイルオペレーティングシステムである。台湾メディアのDigiTimesが報じたところでは,この決定にはAndroidの大きな人気が密接に関係しているという – 世界のスマートフォン市場の80%近くを占めるGoogleのプラットフォームは,事実としてSamsungのモバイル製品ラインのすべてに組み込まれているのだ。これ程までに競争の激化した市場でプラットフォームを換えるというのは,Sumsongにとってあまりにリスクが大きい。GoogleのモバイルOSにおけるSamsung自身の利害関係を考えれば,なおさらのことだ。
プラットフォームのシフトは現在も進行中だが,実現は予想よりも多少遅くなるだろう。Samsungの営業部長であるJong-gyoon Shin氏が先月末,Tizenフォンのリリースを延期すると決定したからだ。当初の予定としては,Galaxy S3と同じハードウェアでリリースされるはずだった。しかし競合製品を見たShin氏が,組織として機能や特徴を向上させるための時間を確保することが最善であると判断したのだ。公式なリリース日程は決定していないが,10月27~29日にサンフランシスコで開催予定の,同社としては初のオフィシャルな開発カンファレンスが発表の場になるのではないか,と予想するものが多い。
2012年1月に初めてリリースされたTizen OSは,実情としてはIntelのMeeGoオペレーティングシステムと,SamsungのLinuxベースのBadaプラットフォームを結合したものだ。2つのプロジェクトはその後,渾然一体となって開発を継続してきた。その結果として7月にリリースされたTizen 2.2には,APIアクセス管理権限の新設や,プラットフォームをより開発者フレンドリにするための開発環境の刷新など,開発者にとって重要な機能が多数追加されている。2008年にローンチされたAndroidはその後急激に普及し,モバイル業界において広範な優位性を確立するに至っている。 これは主として,同プラットフォームが無償でカスタマイズが容易であるという,オープンソースの特性によるものだ。その結果としてAndroidデバイスは,ライバルよりもさまざまな種類のものを,一般的に相当な低価格で販売できている。
SamsungはTizenによって,独自の手段でGoogleに挑戦しようとしている。Tizenに限ったことではない。Jolla Sailfish,Firefox,Ubuntu OSはすべて同じような期待をされている。これら3つはいずれも近い将来,Anrdoidに対して有望な競争相手となっても不思議ではない存在なのだ。