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モバイルHTML5の問題は?

原文(投稿日:2013/11/09)へのリンク

最近のリサーチによると、HTML5の主な問題は一般的に信じられているパフォーマンスではなく、むしろプロファイルやデバッグのためのツール不足と確かなAPIの欠如にあるようだ。

世界中から6,000名を超える開発者からの調査、30,000以上のAndroid Playアプリの分析、42のHTML5フレームワークおよびツールの調査、モバイルHTML5 vs. ネイティブに関する32名のトップエキスパートとのインタビュー結果をもとに、VisionMobileはHow can HTML5 compete with Native?というレポートを公表した。本記事では、そこから重要なところを取り上げる。このレポートでは、HTML5アプリケーションで用いられる市場へのルートを以下の4つに分類している。

  1. モバイルブラウザ – モバイルデバイス向けに、モバイルブラウザで動作するWebアプリやWebサイト
  2. ネイティブラッパー – ネイティブラッパーにパッケージ化され、アプリストア経由で配信されるWebアプリ
  3. Webからネイティブへのコンバータ – JavaScriptで書かれ、ネイティブコードにコンパイルされたアプリ
  4. ネイティブJavaScript API – Firefox OS、Windows 8、Chrome OSなど、ネイティブにサポートするプラットフォーム向けに書かれたHTML5アプリ

レポート結果

  • 開発者の61%はモバイルブラウザ向けに書いている。
  • 米国のAndroid Playアプリケーションの63%は、ブラウザに未実装なAPIがあるために、モバイルブラウザ向けのHTML5で書くことができない
  • 米国のAndroidアプリの37%はHTML5で実装できるが、もしブラウザがPower ManagementとWiFi APIをサポートすると、それは58%になるだろう。
  • 開発者の39%はモバイルブラウザ以外の3つの市場へのルート向けにHTML5アプリを作っている。
  • 米国のAndroidアプリのうち、49%はネイティブラッパーで、63%はWebからネイティブへのコンバータで、98%はネイティブJavaScriptで、実装することができる。

次のチャートは、HTML5の魅力について示している。

次のチャートは、開発者から見たHTML5の不満について示している。

多くの開発者はパフォーマンスがHTML5の主な問題だと考えているが、この分野のエキスパートたちをインタビューした結果、このレポートの作者はそれは間違いだと考えた。というのも、新世代のハードウェア、JavaScriptコンパイラの改善、Asm.jsを使うという選択肢などにより、パフォーマンスは自然と改善されつつあるためだ。これには政治が関係している。もっと言うと、主要なブラウザベンダーはモバイルOSベンダーでもあり、各自のアプリストア経由でアプリケーションを配布することに関心があるということだ。GoogleはネイティブのChromeアプリを推奨し、Appleは最新のHTML5を実装しているように見えるが、「WebGLなどのパフォーマンス絡みのAPIは取り残されている」。またレポートによると、HTML5の神話の1つは開発が簡単であることだが、実際には十分なデバッグおよびプロファイルのツールがないため、開発は非常に困難だ。

米国のGoogle Playアプリで最も使われているAPIは以下である。

現在のHTML5 API標準化状況とブラウザへの導入を以下に示す。

次の表は、市場へのルートごとに、実装されると効果があるAPIと、もしそうなれば、どれくらいのアプリがHTML5で実装されるかを示している。

市場へのルート

API アプリの%
モバイルブラウザ Power management 13%
ネイティブラッパー Power management 12%
Webからネイティブへの変換 WiFi 21%
ネイティブJavaScript API Calendar

1.4%

このレポートは結論として、次のような見解とHTML5への提言を述べている。

  • ブラウザはPower ManagementとWiFiをはじめとして、もっとHTML5 APIを実装すべきだ。開発者はブラウザベンダーにもっとAPIを実装するようプッシュすべきだ。
  • ネイティブJavaScriptアプリのための標準化されたパッケージング方法が開発されるべきだ。それによって、一度アプリをパッケージ化すれば、それをサポートしている任意のプラットフォームで動かすことができる。
  • クッキー関連の不安やプライバシー懸念を軽減するため、デバイスアイデンティティAPIが開発されるべきだ。
  • 開発者はHTML5によりもたらされる可能性、真の利点と欠点について、もっと知識を得るべきだ。
  • デバッグツールの生成を可能にするDebug APIが開発されるべきだ。

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