サンフランシスコで開かれたDreamforceにおいて、SalesforceがSalesforce1プラットフォームをローンチした。最初に提供するのはモバイルにフォーカスしたもので、基本となるAPIセットをもっと豊富にすることで、これまでの「Touch」ユーザインターフェイスを改善することを目指している。ローンチにあわせて、新しいアプリケーションと管理モバイルアプリも発表された。
最初の新しいモバイルアプリは「Chatter」アプリを置き換えるもので、デスクトップと以前のモバイルアプリの大きな機能的ギャップとなっていたSalesforce.com内におけるカスタマイズを改善する。このアプリはこれまでアクセスできなかった、サービス、レポート、ダッシュボードへのアクセスも提供する。新機能のほとんどは、すでに大規模なβテストとして利用可能になっており、「Chatter」の最新リリースにも導入されている。
開発者向けの概要には、「Salesforce1プラットフォームは、Force.com、Heroku、ExactTargetを1つのクラウドサービスファミリーにまとめて(すべてAPIファーストで構築されている)、プロダクト、ユーザ、次世代エクスペリエンスを結びつけるアプリを実現する手助けをします。」と書かれている。プラットフォームAPIに接続するカスタムのiOSおよびAndroidモバイルアプリ開発のためにSDKを提供することで、彼らは引き続きモバイルにフォーカスしている。ローンチされたスタンドアロンのモバイルアプリは、Salesforce1 API上に構築されたSales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudといったサービスと連携する。新しい管理アプリ「Salesforce1 A」では、新規ユーザの準備や既存アカウントのロックをすることができる。
Salesforceがまだ実現していないのは、提供しているPaaSをまとめることだ。Heroku1とブランド付けされたHerokuの新エディションは「Salesforceとのインテグレーションを簡単にし、エンタープライズ向けサポートを追加する」が、開発者が統合アプリケーションを作るには、Force.com、Heroku、ExactTargetの各APIに個別にアクセスする必要があるだろう。これはSalesforce1 Development ResourcesやDeveloper Documentationにある各種ドキュメントによりはっきり示されている。
Heroku1はHeroku PostgressとSalesforce間の双方向データ同期を可能にする「Connect」と呼ばれる新機能を提供する。これにより、Herokuがサポートする言語(Ruby、Node.js、Java、Python)で書かれたアプリから、コアとなる顧客データにアクセスできるようになる。これまでForce.com経由でこうしたデータにアクセスするには、Salesforceの独自言語であるApexを使う必要があった。
新しいAPIの利用はモバイルのためだけではない。ジェットエンジンから歯ブラシまで、つながるデバイスを使ったさまざまなアプリケーションがデモされている。このことはSalesforceが「Internet of things」の領域を手に入れようとしていることを表している。GPSやRFIDといったデータソースも統合されており、ターゲットマーケティングや無駄のない顧客サービスプロセスに役立てることができる。