OpenStackオープンソースクラウドの次期リリースであるIcehouseは,2014年4月の公開が予定されている。自動インストール(TripleO),ベアメタル・プロビジョニング(Ironic),キューおよび通知サービス(Marconi),データベース・アズ・ア・サービス(Trove)が統合サービスとして提供される。Hadoopサポートの改良版(Savanna)もインキュベーションに含まれる予定だ。
Icehouseのロードマップは,OpenStackサミットをメインとして11月5日から8日まで香港で開催された,デザインサミットの中で決定された。1月中旬にはリリース対象機能や開発状況と合わせて,デザインサミットでの議論の記録がロードマップのページで公開されている。
2012年10月にFolsomがリリースされて以来,OpenStackコアコンポーネントのラインナップに変化はないが,改良と整理は続けられている。IcehouseではNova (計算サービス)のネットワーク機能が非推奨となり,Neutron(ネットワーキングサービス)が選択されることになるはずだ。
サービスのライフサイクルは2013年4月のGrizzlyのリリースで変更されて,インテグレーションステージ(インキュベーションとコアの間)が導入された。これによってコアのサービスを今以上に拡張しなくても,サービスを追加することが可能になった。基本的なインフラストラクチャ・アズ・ア・サービスの構築を目標とするユーザにとって,これは重要な点だ。2013年10月のHavanaが,このメリットを活用した最初のリリースとなった。このリリースでは,オーケストレーション(Heat)と計測機能と(Ceilometer)の2つが,統合サービスとして提供されている。
改訂された ‘State of the Stack’ プレゼンテーションにはRandy Bias氏(OpenStackベンダであるCloudscalingの創設者)が,OpenStackはもっとも早く成長したオープンスタックコミュニティであり,現在では12,000人以上の個人が参画している,と記している。Havanaのリリース時点で910のコントリビュータが登録されていて,開発者コミュニティ全体では現在1,000を越えている。香港で開催されたOpenStackサミットでは,エキゾチックな場所にも関わらず,前回のポーランドでのサミットよりも1,000人以上多くの参加者を集めた。
OpenStack構成員の中には,しかしながら反対意見もいくつかある。例えばRackspaceとCloudscallingのエンジニアだったAndrew Shafer氏は,‘OpenStackには人々がソフトウェアソリューションを故意でなく誤使用した,悪いプロジェクトの成果が残ることになる’ と断言している。氏が特に問題視しているのは,コントリビュータ個々の威信によってOpenStackが複数のプロジェクトに分裂してしまう可能性だ。特に脆弱だと指摘されるのは,計測プロジェクトのCeilometerである。‘監視・計測をクラウドにボルトで据え付けるという発想そのものが,信頼性やスケーラビリティを後付けしようとするのと同じくらいナンセンスです。’
GartnerのアナリストであるAlessandro Perilli氏もまた,‘Why vendors can’t sell OpenStack to enterprises’ という記事を書く中で,OpenStackが行うことと行わないことの明解さの欠如,OpenStack関連ビジネスの透明性の欠如,ビジョンと長期的な差別化の欠如,実用性に関する考慮の欠如を指摘している。OpenStackの将来性や実現性に対してさらなる疑問を投げかけるのは,BrocadeのアーキテクトであるGeoff Arnold氏の‘Whither OpenStack?’だ。この記事はOpenStack支持者の間に多くの反響を引き起こした。Red HatのBrian Che氏は "オープンソースプロジェクトは製品と同じではない"と述べている。またRackspaceのScott Sanchez氏は,"革新的な企業"がOpenStackを採用するだろう,と言う。"そのような企業は‘エンタープライズ用の機能’をインフラストラクチャ層に要求するよりも,自らアプリケーション層に構築する方が手っ取り早いことを知っているからです。"