Appleはジュネーブ国際モーターショーで高級車メーカと提携,CarPlayを初公開した。iOSデバイスを既存の車載インフォティメント機能に完全に統合する。現在はマップや電話,メッセージなどに機能が制限されている。CarPlay対応アプリケーションを開発するためのAPIも現時点では公開されていない。
Appleは2013年6月に開催されたWWDC(World Wide Developer Conference)での発表の一環として,すでに車載iOSデバイスとの緊密な統合について言及していた。その時点では "iOS in the Car"と呼ばれていた。現在のiOSデバイスの統合はBluetoothプロファイルをベースとして,車のマルチメディアシステムにオーディオ信号をストリーミングするか,あるいはハンズフリー通話にiPhoneを使用するのが一般的な方法だ。これに対してCarPlayでは,iOSオペレーティングシステムが実質的に車載システムの一部になるため,iOSのユーザインターフェースを社内の情報スクリーンに表示したり,組み込みのハンドフリー機能でSiriを使用することが可能になる。自動車とデバイスの接続はlightningケーブル経由で行う。
運転中のiPhone使用をより安全なものにするため,Appleは,iPhoneアプリのいくつかを自動車のユーザインターフェースから直接操作可能にする。これによって,運転に集中しながら特定のiOS操作を利用できるようになる。ユーザインターフェースには組み込みのタッチスクリーンだけでなく,車載情報システム操作で一般的なダイアルやボタンといったハードウェアコントロールも含まれている。
- Appleマップ: Appleのターンバイターン・ナビゲーションと交通状況が車載ダッシュボードに提供される。連絡先やカレンダ情報に基づく行き先予測などの高度な機能も提供される予定だ。
- 電話: ハンドフリーな音声コントロール通話システムがiOSから直接提供される。Siriも音声コントロールから起動可能になる。
- メッセージ: メッセージの自動読み上げや返信にSiriを使用できる。
- オーディオ: CarPlayを通じて車載エンターテインメントシステムからiPhoneミュージックライブラリにアクセスできるようになる。Spotifyなどサードパーティのオーディオアプリも利用できる。
フェラーリ,ジャガー,メルセデスベンツなどのブランドが,2014年中にいくつかのモデルでCarPlayを導入する予定である。さらにBMWやFord,トヨタなど他のメーカも,今後のモデルにCarPlayを統合すると発表している。
Appleによれば,CarPlayはiOS 7アップデートの一部として,モデル5以降のiPhoneで使用することができる。iPadやiPodなど他のiOSデバイスでもサポートされるのかについては,現時点で情報がない。SpotifyやiHeartRadioなど,CarPlayとインターフェースを持つサードパーティアプリはすでに存在するが,車載アプリを開発するためのAPIが用意されるかどうかは明らかでない。