Androidのデザインを統括するMatias Duarte氏はAccel Design Conference 2014でソフトウエアデザインに関するインタビューを受けた。氏はインタビューで、ソフトウエアのデザインを異なるデバイスに対する別々のアプリではなく、ひとつのアプリで複数のスクリーンに対応する設計にすることの必要性を強調した。
ソフトウエアデザインナー、プロダクトマネージャ、開発者に対して、氏はインタビューで大胆な発言をした。“コンセプトとしてのモバイルは死んでいます。モバイルは終わったのです。”この発言が意味しているのは、モバイルデバイスが死んだということではなく、モバイルデバイス向けにアプリケーションを設計することが間違っているということだ。氏は“スクリーン”という観点で考えることを推奨している。
氏はモバイルが独立したカテゴリだったのは、制限があったときだ、という。つまり、帯域が限られており、処理能力が貧弱だったことの話だ。しかし、今、ほとんどの人々にとってはどのような大きさのスクリーンでも必要なものが表現できてしまう。したがって、デザイナーはモバイルを特別なカテゴリとして考えるのをやめる必要がある。
Duarte氏は人々が興味のあるスクリーンに投資し、5から7インチのスクリーンには投資するべきではない、とアドバイスする。また、異なるスクリーンごとに異なる製品を作るべきではなく、ひとつの統一された設計アプローチで作られた、ディスクトップ、スマートフォン、自動車向け、スマートウォッチなど複数のスクリーンに対応する製品を作るべきだという。ユーザは複数のスクリーンでひとつのプログラムを使い続けられるようにする必要がある。これは製品の見かけだけの問題ではない。機能の問題でもある。例えば、タクシー配車アプリを作るのであれば、7インチのスクリーンで動き、2インチでは動かないというのは問題だ。
Duarte氏によれば、プロダクトマネージャとデザイナーはスクリーンという観点から考えるべきだ、という。今のテクノロジーは若く、問題を抱えている。例えば、スクリーンごとに他とは違う技術が使われている点だ。ラップトップのChrome OSとスマートフォンのAndroidがそうだ。しかし、ユーザはそれによって苦しむことはない。
また、明言してはいないが、Duarte氏はいつかの時点でChrome OSとAndroidは統合されることに同意した。実際、テレビや自動車搭載システムなどを含むGoogleのすべてのプラットフォームは統合される必要があるだろう。しかし、どのように達成するかは明らかではない。
Duarte氏の基本的な考えあ、異なるデバイスに別々のアプリを作るのではなく、ひとつの製品で複数のスクリーンに対応するということだ。“デバイスではなくユーザのためのデザイン”だ。
ネイティブ対ウェブについては、氏は次のように考えている。
- ウェブよりネイティブが好まれるのは、技術的な“熱狂”が原因だ。知っていること、理解できることに対する好みだ。
- ウェブにはさまざまな属性がある。それは素晴らしい属性で今のネイティブアプリにはない。
- 開発者は現在のアプリの概念を超えていく必要がある。ユーザはアプリをインストールしたいのではない。コンテンツが欲しいのだ。
- 今、ウェブでは面白いリンクが手に入り、インデックス可能で、揮発性が高い。コンテンツを手に入れるにはウェブを調べればいい。アプリをインストールし管理する必要はない。しかし、ネイティブアプリは性能に優れ、センサーなどのデバイスの機能にアクセスできる。将来は両方のメリットを享受できるようにする必要がある。これはOSとソフトウエアメーカーの仕事であり、現在のように異なるデバイスごとに異なるプラットフォームがある混乱状態に終止符を打つ必要がある。将来はネイティブ対ウェブの対決は重要ではなく提供するコンテンツが重要なのだ。
- “ウェブとネイティブは両方とも間違っています。両方とも死ぬべきです。”
Android Wearの背後にある設計思想については、氏はスマートウォッチを操作する時間を縮小することの重要さを強調した。そうすることで現実の世界のインタラクションを十分に活用できるのだ。
Duarte氏はかつて、T-Mobile Sidekick、Helio Ocean、PalmのwebOSの設計にも深く関わっていた。