InfoQの記事 "Culture is the True North” でArne Roock氏が,組織文化の促進と発展を支援する役割として取り上げたのが "フィールグッド・マネージャ(Feel Good Manager)" だ。InfoQでは今回,Jimdoのフィールグッド・マネージャであるMagdalena Bethge氏にインタビューして,文化とコラボレーションのサポート,幸福,そして社員のワークライフ・バランスの実現支援について聞いた。
InfoQ: Jimdoがフィールグッド・マネージャの必要性を決定した理由について,説明して頂けますか?
Magdalena: Jimdoの3人の創業者が,今後数か月ないし数年にわたって従業員が急増するであろう同社の状況に気付いたとき,スタートアップ企業独自のフィーリング – 遠慮のない直接的なコミュニケーション,コラボレーション方法,互いの認め方といったものが失われてしまうのではないか,という不安に駆られたのです。創業当初から持っていたJimdoの文化を維持していくのは,大変な作業だと思われました。そこでこのような問題を引き受けて,Jimdo社員の面倒を見てくれる人物を探すことにしたのです。
InfoQ: Arneが "Culture is the True North" で説明したように,Jimdoにとっては企業のカルチャ(Calture)が重要な問題だったのですね。その文化に対して,あなたはどのように貢献しているのですか?
M: Jimdoに来て私が最初に行ったのは,Jimdoのコアバリュー(Core Value, 基本的価値感)について理解することでした。このような無形のものが対象の場合,すべての人たちがそれを知り,それに従い,そしてもちろん,それに沿って適切に行動していることを確認しなければなりません。そこで私は,Jimdoにおけるコラボレーションの方法や人々の振る舞い方,互いを扱う方法について公開アンケートを行いました。その回答をすべて集約した結果を,Jimdoのコアバリューとして書き記したのです。何らかの意思決定を行うときや,同僚に対して何が期待できるか,何を期待されているかを知る上で,これは誰にとっても有用です。新入社員にとっては特にです。
InfoQ: 文化は時とともに変化し,それを本当にコントロールすることはできません。あなたがJimdoの企業文化の発展にどのような影響を与えられたのか,例をいくつか示して頂けますか?
M: 目的の明確な影響力の好例は,"新しいメンバに対して,自身の作業に個人的な責任感を持って対処するように指導,および動機付けする"というものです(Jimdoのカルチャのひとつでもあります)。2012年の調査では,この面の質問に対する返答はよいものではありませんでした。そこで私は,フローマネージャ(Flow Manager)やヒューマンリソース管理の責任者と協力して,Jimdoの従業員導入プロセスを改善することにしたのです。メンタシッププログラムや定期的なフィードバックシステムを確立して,フィードバックワークショップを毎日行うようにしました。
これによって,2013年のカルチャ調査の結果は大幅に改善されたのです。まさに大成功ですね :)
InfoQ: カルチャとコラボレーションとは密接に関連していると思います。人がどのように共同作業し,コミュニケーションを行い,議論して問題を解決するのが企業文化なのですが,これについてあなたの見解を教えてください。
M: その考え方には同意できますね。どのグループにも,どの企業にも,それぞれコラボレーションの方法があります。企業のコアバリューは,チームのコラボレーション方法に影響します。カルチャは,人々が互いにいかに教え合うか,誰がオフィスの仲間の面倒を見るか,という問題に影響するというのが私の意見です。
InfoQ: 社員の幸福を重視することにはメリットがあります。幸福度を測定して分析する組織がありますが,Jimdoでも行っていますか?それによって,どのようなメリットがあるでしょう?
M: Jimdoでは幸福度を測定していません。私たちは毎年,満足度と重要性の観点から,カルチャのコアバリューを検証する調査をしています。それによって何をしなければならないか,どこに改善の余地があるのかが分かります。
InfoQ: 調査から分かったトピックについて,何か例を挙げて頂けますか。それにはどのように対処してきたのでしょう?
M: 調査の結果は,すべてのチームメンバに公表されます。昨年と大きく違うトピックが何かあれば,私がそれを創業者と,チーム内で定常的にその仕事を担当している,"組織開発"と呼ばれるグループの人たちに報告します。これは組織開発の構造に関わるトピックを議論する機会であると同時に,そのような問題を解決する方法でもあります。
InfoQ: メンバのワークライフ・バランスの維持も支援している,と記事にはありましたね。私は経験から,ワークライフ・バランスは人それぞれだと思っています。仕事と個人的な生活をはっきりと区別したい人もいれば,渾然一体となった状態を好む人もいます。個人的なワークライフ・バランスの実現と維持を,どうやって支援しているのでしょうか?
M: この問題で重要なのは,ひとりひとりのワークライフ・バランスの概念が異なることです。目と耳を開いて,明確な態度で臨まなければなりません。彼らの問題と考え方を理解することで,個人に合ったワークライフ・バランスを見付けることができるでしょう。
個人とワークライフ・バランスとの関係がさまざまであることは,いろいろな領域に影響します。静かな作業場所を必要とする人たちがいる一方で,オフィス生活にどっぷり浸かりたい人もいる,といった具合です。適当な時間で仕事を切り上げたい人もいるでしょうし,一日の終わりへとスムーズに移行するために,同僚とビールを楽しみたい人もいます。体系的な作業時間の定義が必要な人がいれば,自発的に仕事をしたい人もいるでしょう。大切なのは,このような事を十分に理解して,それぞれの人の希望にできる限り近いオフィスと作業条件を提供することです。
InfoQ: フィールグッド・マネージャであることから学んだことは何でしょう? フィールグッド・マネージャになりたい人,あるいはフィールグッド・マネージャを導入しようと考えている組織に対して,何かアドバイスはありますか?
M: フィール・グッド・マネージャの概念とそのタスクの内容は,その企業に大きく依存します。人的資源とのさまざまなインターフェースの元で働いて,持続的な成果を可能にするには,会社の一部になることが重要だと思います。組織開発に関しても発言権を与え,そして何よりも重要なのは,カルチャやコアバリューに責任を持つ唯一の人物にならないことです – すべてのメンバに,それを行う権利があるのです!