プロジェクト管理ツールのLiquidPlanerに,カードビュー(card view)という新たな表示機能が加わった。プロジェクトのポートフォリオ全体,あるいは特定のタスクセットのどちらでも,最大12種類のカスタムタイプのボードを切り替えて確認することができる。アジリティを備えたボードによる高度なスケジュール機能を提供し,優先度の変更や作業進捗に伴うタスクの視覚化や調整が可能だ。
LiquidPlannerのCEOであるLiz Pearce氏に話を聞いた。
InfoQ: LiquidPlannerについて教えてください – この製品の新しい部分は何でしょうか?
LiquidPlannerは業界で唯一の,予測と優先度に基づくプロジェクト管理ソリューションです。単なるタスクリストや作業者間のソーシャルネットワークを越えた,独自のアプローチを採用しました。業界最高のスケジューリングエンジンの開発(2007)以来,当社が一貫して取り組んできたものです。作業がいつ完了するかの予測を(統計的な信頼性を持って)可能にするだけでなく,プロジェクトやタスクを優先度順にドラッグするだけで,状況の変化にもダイナミックに対応できます。
今回リリースしたカードビューは,アジャイル開発と従来の"かんばん"ボードをモデル化した,カードとボードによるビューです。当社のユーザ2000社の約半数はソフトウェア開発やITに関連しています。彼らはこのようなタイプのアジャイル管理オプションを,当社のスケジュール機能やコラボレーション機能に統合したいと望んでいました。カードビューはプロジェクトのポートフォリオ全体,あるいは特定のタスクセットのどちらも見ることができます。作業状況を複数の次元から視覚化するのです。オーナやユーザの指定によるフィルタも可能です。
InfoQ: LiquidPlannerのおもな機能について説明して頂けますか?
ベストケースとワーストケースの時間予測機能を備えた正確なプロジェクトスケジュールの構築が,PPM業界における当社の特長です。これによって,固定的で柔軟性のないプロジェクトタイムラインを1~2人のPMで作り上げる作業は必要なくなります。各担当者が自分自身のタスクについて,そのベストケースとワーストケースの時間予測を入力するだけで,システムが自動的にスケジュールを立案してくれるのです。これはスケジュールの現実性を大幅に向上させます。作業者は自分自身の作業の編成方法をコントロールできるようになりますし,プロジェクトの正確な人員配置とスケジューリングが可能になることで,管理する側にもプロジェクトの期日通りの完了というメリットがあります。
InfoQ: アジャイルチームにとって,カードビューにはどのようなメリットがあるのでしょう?
LiquidPlannerはベストケースとワーストケースの見積値を使用可能な,市場で唯一のPPMです。当社のスケジュールエンジンがこれらの見積値をすべて取り込んだ上で,最も可能性の高い完了日を自動計算します。ワークロードレポートをオンザフライで見ることによって,利用可能なリソースを最大限に活用することができます。変更が発生した場合でも,スケジュール内のタスクを単にドラッグ&ドロップするだけで,LiquidPlannerがスプリントの優先度を変更してくれます。スケジュールの変更はその場で行われます。
最後に,アジャイルチームの多くが毎日のスタンドアップで,LiquidPlannerをダイナミックなアジェンダとして利用しています。チームメンバが最新状況を報告して問題点を記録した後,スクラムマスタが計画をリアルタイムで更新します。そしてチームの全員が自分たちの望むこと,すなわち高品質のコードを提供する作業に戻ることができるのです。
InfoQ: LiquidPlannerには"View by Team"や"View by Industory"など,さまざまなビューがありますが,どのような使い方を想定しているのでしょう? 製品をより多くの組織に受け入れられるようにすることが目的なのですか?
もちろんです。当社はLiquidPlannerを産業や組織,チームのタイプを選ばずに利用できるように開発しました。フレキシブルであると同時に,数百というプロジェクトやタスクをひとつのビューで整理,優先度付けできるように設計されています。チームや戦略的目標,ビジネス活動,地理的条件などによるプロジェクトのフィルタリングが可能なので,ビジネス上の戦略的意思決定のために,組織のワークロードを全社規模で見る必要のある経営層に対しても強力なツールとなり得ます。
InfoQ: LiquidPlannerはRailsConf 2014で発表されましたが,カンファレンスでの反応はどうだったのでしょう? プレゼンテーションでは,どのような機能に重点を置きましたか?
当社はRuby on Railsコミュニティと強い絆を持っていて,同じフレームワークを使用する世界中の開発者たちに出会う機会を大切にしています。Rails Conferenceに参加して展示やプレゼンテーションを行うのは,今年が2回目になります。当社のシニア開発者であるAdam Sandersonがプレゼンテーションした"Unreasonable Estimation and Improbable Goals(不合理な見積と不可能な目標)”では,当社が心から大切にしていること,すなわち範囲を持った見積に焦点を当てました。これは学校では教えてくれませんが,経験から学んで完成されたスキルのひとつなのです。
InfoQ: 今後,さらに機能を追加する予定はありますか?
もちろん!当社は先頃,800万ドルの資金調達を行いました。全社規模でのプロジェクトの視認性をさらに向上するために,新たな機能を開発する技術者チームや開発者チームに対する増員を続けています。