Anko Tijman氏が言うには、信頼とは関係への投資に関する意思決定だ。アジャイルのガバナンスは信頼の上に成立しなければならない。信頼を得るには、人々を啓発させ、理解し、守り、成功にフォーカスする必要がある。信頼がなければ、協力も透明性も目的も存在し得ない。
アムステムダムで開催されたAgile Governanceカンファレンスで、Anko Tijman氏はbeing in control through people factorsと題したプレゼンを行った。ガバナンスは普通、構造とモデルを使った分析的な制御に基づいて行われる。ライトシフティングを導入することで、組織はより協力的になり、ガバナンスの人的要因に着目するようになる。氏によれば、チームが抱えている困難を理解することがアジャイルのガバナンスにとって重要だ。
プロジェクトを統括する人は平和を望んでいる、と氏は言う。氏はアインシュタインの次の言葉を引用した。“平和は力によっては維持できない。理解によってのみ達成できるのだ。”
InfoQはAnko氏にインタビューし、アジャイルのガバナンスの成功要因について、自己組織について、一貫性のあるチームについて、コラボレーションについて、話を聞いた。
InfoQ: カンファレンスでのあなたのセッションはアジャイルをうまく制御するのに必要なことについてでした。アジャイルはガバナンスの成功要因をどのようにかえてしまうのでしょうか。
Anko: もし、トップレベルのマネジメント(ガバナンスを必要とする人たち)がプログラマやプロジェクトに対してひとつのことを要求するのであれば、ビジネスが成果から利益を生めるということに確信を持てばいいのです。アジャイルはプロセスと結果を透明にし、更なる改善へのアプローチを提供します。私の考えでは、アジャイルは、優れたガバナンスであると見なされているものを提供します。つまり、粘着力(グリップ)を提供するのです。私たちが知っているガバナンスはプロセスについてのことですが、アジャイルはプロダクトについての実践です。
InfoQ: アジャイルガバナンスの成功要因を教えてください。なぜそれが重要なのでしょうか。
Anko: アジャイルガバナンスがうまくいくようにするということに対する上級管理職からのコミットメントが大事です。そのコミットメントにはマインドセットの変更、働く意味、働き方の変化が必要なのです。つまり、つまり、ガバナンスの構造が必要です。
InfoQ:アジャイルは自己組織化できることを強調します。しかし、多くの組織やチームで自己組織化の難点に直面しています。ヒエラルキーのある命令制御型のマネジメント構造では難しいのです。なぜアジャイルでガバナンスが必要なのでしょうか。ガバナンスによって、自己組織化するのがさらに難しくなってしまうのではないでしょうか。
Anko:正しくガバナンスを行えば、チームには利益があります。しかし、ガバナンスが貧弱で価値のないことにフォーカスしていると、ガバナンスには価値がないと思われてしまいます。アジャイルガバナンスにとっての重要要件はチームをより自己組織的にすることだと思います。
InfoQ: モチベーションの高い人はチームのパフォーマンスや顧客へソフトウェアを提供する力に影響を与えます。あなたは、ガバナンスにも影響を与えるとおっしゃっていますね。詳しく教えてください。
Anko: チームのパフォーマンスに影響を与える第一の前提は信頼です。その観点から考えてると、アジャイルのガバナンスにとっても信頼はとても重要です。信頼がなければ、チームのメンバにはベストを尽くすほどのモチベーションが生まれません。ベストを尽くさないのなら、プロジェクトのゴールには到達しません。ガバナンスは確証を生むというより、逸脱を検出するのです。
InfoQ: ガバナンスではチームに一貫性があることが重要だとおっしゃっていましたね。多様性についてはどうでしょうか。また、基準が複数あるアジャイルチームはどうでしょうか。一貫性を持つことができるでしょうか。
Anko: 基準が複数あり、多様なチームというのは、まさに私が言った一貫性のあるチームのことです。ひとつだけ付け加えるとすれば、プレゼンで示した通りで、パーソナリティ的要因も多様であるべきだということです。例えば、ベルピンロールやMBTIプロファイルが異なっている必要があります。多様なチームはそうでないチームに比べ、成果を生みやすいのです。
InfoQ: チームにとってコラボレーションは鍵です。コラボレーションのスキルを磨くにはチームのメンバはどんなことができるでしょうか。
Anko: どんな場合でも、学習にとって重要なのは好奇心です。コラボレーションスキルを改善したいなら、好奇心を持って、チームのメンバの仕事の仕方や必要としていること、どのように扱われたいと思っているか、を考えてみましょう。また、プロジェクトのゴールを設定することも重要です。私たちはそのままでは、自分たちのニーズに従ってしまいます。しかし、コラボレーションとは自分のことではなく、自分たちのことなのです。したがって、チームの共通のゴールを定め、常に念頭においておくことが重要です。チームのメンバのモチベーションを高めるためにもゴールを作る必要があるかもしれません。しかし、次のことは忘れないでください。ゴールは顧客に説明できるものでなければなりません。