Tasktopは大規模アジャイルを対象に,Tasktop Sync 3.5という新しいツールをリリースした。主要なアジャイルツールの大部分を,一般的に使用されているエンタープライズALMツールに接続する。強力なガバナンスを目標に設計されたALM基盤に,さらに柔軟性が加わることによって,大規模なアジャイルが現実のものになるのだ。InfoQでは,Tasktop TechnologiesのCEOであるMik Kersten氏に,この製品について聞いてみた。
InfoQ: Taskop Sync 3.5について説明してください。
Tasktop Syncで私たちが目指すのは,アプリケーション開発とDevOpsライフサイクル全体の結合です。Sync 3.0ではSyncライフサイクルバスを拡張してヘルプデスクと,さらにService NowなどITSMシステムを結合できるようにしました。Sync 3.5では,市場をリードするアジャイル計画ツールをすべてサポートするように,製品のエコシステムを拡大すると同時に,ヘルプデスクのサポートも拡張しています。中でも特に,ZenDeskの認証インテグレーションとVersionOne®のサポートが加えられた点には注目して頂きたいですね。最新バージョンのAtlassia JIRA Agile, CA Clarify Agile, HP ALM/Quality Center, IBM Rational Team Connect(RTC), Microsoft Team Foundation Server (TFS), Rally, ServiceNow, ThoughtWorks Mingleに対するサポートもアップデートされています。
InfoQ: 今回のリリースで注目すべき機能は何でしょう?
Sync 3.5リリースでの中心的な新機能のひとつはArtifact Relationship Managementです。この機能はライフサイクルの成果物だけではなく,体系的構造や関連性,成果物間のリンクの同期も可能にするものです。要件やユーザストーリ,障害,チケット,テスト,コードコミットに対して,それぞれ別々の最適なツールを組み合わせて使用しながら,その間の完全なトレーサビリティを実現します。これによって開発者は,必要な情報をいつでも手に入れることができるようになります - 使っているツールが簡易なイシュートラッカでも,エンタープライズALMツールでも構いません。注: このようなレベルの統合がこれまで実現されてこなかったのは,実現のために何人ものPhDと1年以上の開発期間を必要としたからです。
もうひとつ重要なのはIntegration Metricsです。これはSync 3.5がソフトウェア開発/提供チーム間の情報交換を理解するための高度な機能です。Sync Integration Metricsはリアルタイムかつブラウザベースで,チーム間のコラボレーションに対する実用的な情報を提供すると同時に,ALMインフラストラクチャ状態の維持管理にも寄与します。
InfoQ: この製品を開発したニーズは何だったのですか?
Tasktopのユーザは,1) さまざまなチームがそれぞれの作業に適したツールを使っているため,複数のアジャイル計画ツールが運用されている,2) これらのツールを他のライフサイクル管理ツールと接続するというニーズに迫られている,という2つの大きな課題を抱えています。つまり彼らには,アジャイルプラクティスをスケールする必要があるのです。アジャイルをスケールするとはすなわち,エピックやストーリ,障害,トラブルチケットなどといった開発成果物で使用されている通貨や言語を介して,ステークホルダ同士がコミュニケーションすることに他なりません。これらステークホルダの中に,ユーザ組織に加えてアウトソース提供企業の人々も含まれていることが,事態をさらに複雑にしています。Tasktop Syncはこれらの組織に対して,ソフトウェアサプライチェーン全般にわたるアジャイルプラクティスのスケーリングを可能にします。
InfoQ: 製品の機能に関して説明してください。どのように動作するのですか?
Tasktop Syncはソフトウェア開発組織内で使用されている異種ツール間に,完全に自動化されたエンタープライズスケールの同期機能を提供します。対象となるのは開発チームの他に,製品管理担当者,ビジネスアナリスト,プロダクトオーナ,アーキテクト,テスト担当者,システムアドミニストレータ,プロジェクトマネージャ,スクラムマスタ,ヘルプデスクプロフェッショナルといった人たちです。Tasktop Syncは,ALMアプリケーションの境界を越えた成果物の同期によってコラボレーションを加速します。既存のツールインフラストラクチャを維持しつつ,機能分野別に構築されたツールの障壁を取り除くのです。ユーザはそれぞれ,自ら選択したツールを使いながら,他システムの最新情報を継続的に受けとることができます。アプリケーション開発と提供が強化され,既存ツールへの投資は拡大します。
特筆すべきなのは,SyncがDevOps統合バスとして動作することです。ユーザがより多くのシステムの統合を望むのであれば,分かりやすい設定プロセスを通じて,単にそれをバスに加えればよいのです。これによってやっかいなポイント・ツー・ポイントの統合や,データのバルク転送や手作業での再入力といった不効率な統合作業は不要になります。
InfoQ: どのようなALMツールがサポートされているのですか?
Atlassian JIRA, IRA Service Desk, Borland StarTeam, Bugzilla,CA Clarity Agile, CA Clarity Requirements, CA Clarity PPM, HP ALM, HP Quality Center, IBM Rational,ClearQuest, IBMRational Requirements, Composer , IBM Rational DOORS , Next , Generation, IBM, Rational Requisite Pro, IBM Rational Team, Concert, Microsoft TFS, Rally, Serena SBM, ServiceNow, ThoughtWorks Mingle, VersionOne, Zendeskなどです。
InfoQ: このツールのウェビナ(Webinar)を実施されていますが,ユーザの反応について教えてください。
ウェビナにはソフトウェアデリバリ担当者や管理者が多数参加して,Tasktop Syncへの関心を持って頂くことができました。現在はhttps://tasktop.com/resources/videos/tasktop-sync-35-release-webinar#videoでオンデマンド提供しています。
InfoQ: Tasktop Sync 3.5とTasktopDev 3.5の違いは何なのでしょう?
どちらのソリューションも,生産性とALMシステムへのアクセスに関するものです。
Tasktop Devは開発者のIDE - Visual StudioまたはEclipse (開発者が選択したツール) にプラグインされます。IDEを使用している開発者は,DevはIDE内からさまざまなALMシステムにアクセスできるようになります。ALM統合機能という面で言えば,Tasktop Devはクライアント側のインテグレーションなのです。
Tasktop SyncはバックエンドのALMシステムに接続する,サーバサイドのインテグレーションです。ソフトウェア提供チームのメンバは,自分たちの選択したツールと要件ツールやテスト管理,トラブルチケット管理 (彼らの分野では中心的なツール)のクライアントを使用すれば,Syncが各システムを,バックグラウンドの見えない位置で統合してくれます。
InfoQ:Mylyn 3.11のリリースについて教えてください。TasktopDev 3.5とはどのような関係なのでしょう?
Mylyn 3.11にはすばらしい新機能がたくさん含まれています。リクエストの多かった機能のひとつは,Task Editorの検索ボタンです。 また,リポジトリ検索機能には強調表示などの機能が追加されて,たくさんコメントのあるようなタスクであっても,情報に素早くアクセスできるようになりました。タスクコンテキストの面では,ブレークポイントの指定が可能になりました(これも要望の多かった機能のひとつです)。ユーザがタスクを切り替えると,ブレークポイントも即座に再ロードされます。Geritや汎用的なコードレビュー機能にも,新たなCode Reviewダッシュボードなどの魅力的な機能がいくつも加えられています。
TaskSync, TasktopDev, そしてEclipse Mylynによって私たちは,開発者など関係するステークホルダに対して,DevOpsライフサイクル全体を統一するという私たちの使命をこれからも継続します。今後にご注目ください。