トップダウンでアジャイルが導入されるのは、企業ではよくあることだ。しかし、その他の方法もある。ステルスでアジャイルを導入する方法や、継続的改善チームを使う方法、限定的にアジャイルの方法を取り入れて、ゆっくりと進め始める方法がある。
FCWのsneaking up on agile developmentという記事で、Mark Rockwell氏はManagement of Change 2014カンファレンスの模様をレポートしている。カンファレンスは、ステルスでアジャイルを導入するということは最も効果的な方法かもしれないという結論に達した。
"'アジャイル'という言葉を発すると人々はナーバスになります"、とRecovery Accountability and Transparency BoardのCIOのShawn Kingsberry氏は言う。氏は自らのエージェンシーを使ってアジャイル開発の手法を用いて、Recovery.govを22日でクラウドへ移行するというプロジェクトを率いたが、アジャイルの手法を強調せずに、望ましい結果が出ることに注力するようアドバイスをした。
Kingsberry氏はアジャイル開発にコミットメントが求められることには賛成したが、ITマネージャにアジャイルを使わせるのはステルスで実施することもできると付け加えた。"'これがクールなアジャイルのやり方だ'という必要はありません"、と氏は言う。そのかわり、少し緩い目標を設定したり、技術よりも達成したいことに着目するようにするなど、少しずつアジャイルを押し進めるという方法でもアジャイルを導入することができる。
Tribhuwan Negi氏はdo not get lost in agile ceremoniesというブログ記事で、継続的改善チームとコミュニティを使ったアジャイル導入方法について考察している。氏はまず、アジャイルの導入の2つの方法から説明を始める。
企業でのアジャイルのプログラムはパブリックに始めるか、ステルスで始まるかのどちらかです。どちらもすべてのチームが一緒に始めるか、試験的に一部のチームが始めるかのどちらかです。‘パブリックなアジャイルの動き’の場合、企業の大きなファンファーレとともに、アジャイルの動きは喧伝するチームや組織が存在します。ステルスモードの場合は、ひとつかふたつの特定のチームだけで行われます。
Tribhuwan氏によれば、正しくない計測方法を使ってアジャイルへの動きの進捗を判定するという儀式に注力することは、アジャイルへの移行にネガティブな影響を与える。そうではなくて、アジャイルの導入プログラムはアジャイルな改善を活気づけるものでなければならない。
私のアドバイスは、‘地に足をつける’ということです。あなたはただ単に、アジャイルのロケットを宇宙に打ち上げただけです。このロケットを正しい軌道に乗せるという大きな仕事が待ち構えています。そして、現実的な利益を無限に獲得するために、このロケットを未知の継続的改善領域に押し進めなければなりません。アジャイルを率いる者は継続的改善の実践、技術、価値、原則、能力、コミュニケーションなどを、アジャイルの努力を次のレベルに押し進めるチームとともに主導する必要があります。
Tribhuwan氏は改善計画を特定し、作成し、管理、支援することに責任を持つアジャイル移行委員会(ATC)と、一度にひとつの改善に取り組み、調査、観察、モデル化、実装、促進、そしてスクラムチーム全体にこれらの動きを移植することに責任を持つ継続的改善タスクチーム(CITT)と協力することを推奨している。
継続的な改善はアジャイルの動きが生き残り、成長するためのエンジンです。アジャイルの心臓なのです。継続的改善がないと、アジャイルチームの努力は、実を結ばないでしょう。組織の重力が停滞するアジャイルへの動きを殺してしまうでしょう。
ATCはアジャイルの改善バックログを持つスクラムチームのように動きます。各イテレーションで、改善を提供します。また、改善のバックログに優先順位がつき、整理されCITTが消化できるようにするためにプロダクトオーナとしても働きます。
your agile transformation needs to start with a quiet phaseというブログ記事で、Elena Yatzeck氏はいくつかのアジャイル導入方法を利点と欠点をふまえて紹介している。
- ひとつのチームでアジャイルを始める。そして、そのチームでより多くの実践を行い、その他のチームでもアジャイルの実践を始める。
- 計画を策定し、KPIを設定して、キックオフを実施し、チームに何をするか、何を達成するかを伝える。
- PDCAを回す。試験的に実施して、結果を検証し、方法を改善し、さらに大きな規模で実施してみる。
Elena氏は他の手法も紹介している。大規模なファンドライジングの手法をベースにしたやり方だ。氏の勧めでは、まず、目立たないフェーズから始め、公式にアジャイルへの移行を発表する前に最初の成功を達成しておくことだ。
ファンドを組成する者はいつも"目立たないフェーズ"からキャンペーンを始めます。そのようなフェーズの中で、多くの資金供給者に向けて、少数の"キャピタルギフト"でアピールをします。キャンペーンを支えてくれるようお願いするのです。研究によれば、最も成功したキャンペーンでこの方法で、キャンペーンを公表する前に目標の資金の40%までを調達しました。キャンペーンのキックオフの時点ですでに成功していたのです。
大規模な移行を実施する必要があるなら、"目立たないフェーズ"のシリーズに時間を費やすことから始めるといいでしょう。"リーンスタートアップ"のような起業家のようなモードでのPlan-Do-Check-Actは、何が良く、何が良くないのかを追跡し、成功の物語を生み出します。一度、大規模で実施する場合の重要点を理解し、いくつかの達成を経験してから、キックオフを実施しKPIを置くのです。
Jake Gordon氏はStill not agile? Take baby steps!というブログ記事で、幹部がリードしない場合のアジャイルの始め方について書いている。
マネジメントのサポートが必要なら、アジャイルコーチをつれてきて、キックオフをするのが一番いい方法でしょう。すべての質問に答えてくれる専門家にガイドしてもらうのです。また、アジャイルコーチは非生産的な習慣について建設的に指摘してくれる人にもなるでしょう。しかし、この方法が使えないなら、次善の策は、底辺から少しずつ仕事を積み重ねていくことです。
すべての方法を試すのはやり過ぎだ、と氏は言う。その代わり、次の3つの実践を始めることを勧める。
- 仕事をドキュメント化して見えるようにする
- 日時でスタンドアップミーティングを行う
- 振り返りを行う
これらの実践は企業に利益を与える。
これらの実践を行えば、優先順位付けを効率的に行い、頻繁にコミニュケーションをし、改善のためのしっかりした仕組みがあるということを確かめることができます。
あなたは企業でどのようにアジャイルを導入しているだろうか。