Google Chromeが window.showModalDialog
をサポートしなくなったが、これによって、OWA、EAC、SAPなど企業向けアプリに影響が出ている。
Googleは今年上旬、Chrome 35でwindow.showModalDialog
を非推奨とした、関連するコードが複雑なためだ。
この機能はコードの複雑さの点で高コストです。というのは、JavaScriptのスタックの上でイベントループを走らせなければならないからです。また、タスクディスパッチを再入可能にすることで、プラットフォームが複雑になってしまいます。
Chrome 37では完全に排除された。統計的には、たった0.006%のウェブページがwindow.showModalDialogを使っているだけだからだ。そしてこの数値も刻々と少なくなっている。しかし、この数値は企業向けのウェブアプリケーションを含んでいない。Outlook Web App (OWA)やExchange Administration Center (EAC)、 SAPの製品、Sitecore、CMSツールなどだ。次の発言のように、影響を受けているユーザもいる。
Hugh David Smith: Chromebookのユーザは、もうOWAを使えません。企業向けにChromebookを使うには、私にとっては大きな欠点です。Chromebook向けのExchangeクライアントが生まれない限り、または、Microsoftがアップデートを行わない限り、Modal Dialog≠Tポートしてもらう必要があります。これからどうするかは決めていませんが、私はWindowsマシンを持っていません。
ヲbryanluvgod: Chromeにとっては大きな失敗だと思います。私には個人事業主のエンドユーザをたくさん抱えており、私たちの会社は"Bring your own device"ポリシーを持っています。したがって、購入するマシンを規制できません。MicrosoftもChromeのために互換性パッチを提供するつもりはないでしょう。互換性のあるInternet Explorerを使うようユーザに薦めるはずです。Googleにがっかりさせられることはあまりないのですが、今回は残念です。
Peter Dolcy: 私たちの地区も問題になっています。教員がOWAを使うときうまく操作できていません。
sabbede: 大企業でOWA (2010sp3)を使っており、Chromeをデフォルトのブラウザに設定しています。… Googleさん、キャッチアップが終わるまで、もとに戻してくれませんか。
追伸、私は世界でトップ10に入る大企業に勤めています。あえて言うと、結構な数のユーザが影響を受けています。
fl...@gmail.com: 私は死にかけています。ChromeのMicrosoft Webmailでは、添付ファイルも付けられません。To、CC、BCCも使えません。仕事をうまくやる上で、Chromeはとても重要なのです。IEへの移行を強いられたくありません。... 望んでいるわけではないのですが、メールは私にとってとても重要なのです。
neilwj.p...@gmail.com: これによって、Chromeは企業ユーザ/マーケットのシェアを失っています。企業向けやビジネス向けのブラウザではないので、これは問題ないんでしょうね。私たちの13000人以上のビジネスユーザはIEに戻るつもりです。...Chromeにとっても私たちにとっても損失です。
すぐにできる解決策は、IEかFirefoxに乗り換えることだ。Chromeを使い続けたいなら、一時的にEnterprise Policy settingsを使って非推奨の機能を有効にできる。ここやここに記載されている通り、2015年4月30日まではこの設定で乗り切れる。しかし、このやり方ではうまくいかないと指摘する声もある。特にWindows Home OSのユーザはポリシーを変更できないようだ。また、一時対応として、 ShowModalDialog polyfillを使うという方法もある。この記事に書かれている通りだ。しかし、この方法でも、いくつかの機能は復活しない。Microsoftなど動作不良を起こしているウェブアプリケーションの開発元がChromeで正常に動作するよう修正をしてくれれば解決するが、多大な工数がかかる場合もあるだろう。
Chromiumでは多くの問題が報告されているが、このチケットの複製と判断されている。そしてこれは、“Won’t Fix”になっている。結論としては、ChromeチームはshowModalDialog
を排除し、もとに戻すつもりはないということだ。
この問題は企業に大きな問いを投げかけている。企業ではなく一般向けに作られたソフトウェアに依存するべきだろうか。開発元が頻繁にアップデートするソフトウエアをインストールするべきだろうか。Googleの高速な開発ペースはひとつの例であり、技術的負債を生み出す機能を非推奨、廃止するという傾向は、ビジネスアプリケーションのユーザである企業にとっては、深刻な影響を与え、ビジネスプロセスが壊れてしまいかねない。
また、Googleのような無料のソフトウェアの問題は次のような形もたらされるのもよくあることだ。多くのフォーラムで次のような質問がなされている。典型的なのはblink-devの次の投稿だ。
Douglas Chagas: だれかGoogleの中の人、答えてくれますか。
言うまでもなく、このような質問の多くは放置されたままだ。