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アジャイル移行における認定の価値

原文(投稿日:2014/09/22)へのリンク

アジャイルの世界でもっとも議論の多い問題は,認定に関するものだ。アジャイル認定は,専門家としての知識を表しているのだろうか?独立系のITアジャイルおよびDevOps移行コンサルタントであるCliff Berg氏は,これに対する自身の見解を,先日のブログ記事で公開した。

アジャイル移行時のもっとも大きな障害のひとつとして氏は,必要とされる新たなスキルの獲得を挙げている。従って,必要なスキルを持った人材を獲得するためには,認定の果たす役割を理解することが重要なのだ。

氏は問う – その人がアジャイルに関して必要なスキルと知識を持っていることを,認定は保証してくれるのだろうか?多くの人たちが認定の有用性を認める一方で,認定を見るだけでは,企業は雇用の可否を決められずにいる。相応の経験を持っていることが,認定に付加価値を与えることになる,と氏は言う。たった2日のトレーニングでは,アジャイル移行の知識をエンドツーエンドで与えることはできない,優れた仕事を経験することが必要なのだ。

認定は,その人の知識の質については,何の尺度も与えません。認定は,高度な知識を保証しません – もっとも初歩的な概念を習得したことの証明に過ぎないのです。従って,最高の人材を見出すための基準とはなり得ないのです。

先日,LinkedInのグループ "Agile" で,スイスのアジャイルリスク管理研究所でディレクタを務めるAlan Moran氏が,"あなたにとってアジャイル認定の価値はどの程度か" という質問を投稿した。認定に対する一般的な評価は,仕事を得る上で有利,というものだった。

メリーランドの42six Solutionsに所属するソフトウェアエンジニアのJoseph Percivall氏は,次のように書いている。

仕事やインターンシップを探す上で,自分と他の応募者を差別化してくれることは,非常に価値があると思っています。面接の時にはいつも話題になりました。私がこれから何を学びたいのか,何で成功したいのかを示してくれるのです。"

アジャイルは,誰もが2,3日で学ぶことができるものではない。 アジャイルを本当に理解するには,その背景として,相応のソフトウェア開発キャリアを持っていなくてはならない。アジャイルに必要なのは規則ではなく,何よりも判断だ。そして判断には,専門的な成熟度が必要なのだ。Cliffは言う。

アジャイルとは,スタンドアップなどを厳密に実践するということではなく,価値の集合体なのだと思っています。何が本当に問題であって,何がそうではないのかに注目し,小さなチャンクで段階的に行動し,都度ごとに設計を作り上げ,チームメンバと継続的なコミュニケーションを持つことが必要なのです。アジャイル方法論のコースは,その方法論のコンテキストを通じて,これらの価値を考える上でプラスになるとは思いますが,本を読むことで簡単に実践できるようにはなりません。問題なのは,アジャイルを正しい観点から捉えるための,経験による裏打ちであり,それが自分の判断を特徴付けることになるのです。

CSM, PMI-ACPといったすべての認定プログラムはスクラムをより重視しているが,アジャイル移行においては他のスキル,例えばXPやDevOps,リーンなどの知識も必要だ,とCliffは言う。また認定では,アジャイルの技術的なプラクティスがサポートされていない。JenkinsやCucumber,Selenium,Vagrant,Chefといったツールは,スクラムマスタやACP認定ではカバーされていないのだ。このような範囲のツールの経験者や,新しいツールの習得に長けている人を探し出す方が,ずっとスマートなやり方だ。

Madison Henryの企業向けアジャイルコーチであり,Scrum.orgのProfessional Scrum TrainerであるDaniel Sloan氏は,さまざまなスキルに加えて,ツールやユニークな考え方が必要であること,これらに本当に習得するには長年の経験が必要であること,などを述べている。また氏は,Scrum.orgのPSM II試験がアジャイルに関連する実践的なシナリオを判断しているとも言う。

認定は個人の知識の質に関して,何ら基準を提供するものではない,というのがCliffの下した結論だ。認定は,高度な知識を保証するものではなく,もっとも初歩的な概念を習得したことの証明に過ぎない。すなわち認定は,最高の人物を見出すための基準とはなり得ず,最低限の共通的特性を見付けるための基準に過ぎないのだ。

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