JetBrainsは，スケジュールより1ヶ月前倒しでIntelliJ IDEA 14をリリースした。今回のリリースには，新しい逆コンパイラ，デバッガの改良，エディタの拡張，Android Wear/TVサポート，多数のJavaScriptフレームワークのサポートなどを含む，数多くの革新的機能が導入されている。
FentFlowerをベースにした逆コンパイラを使えば，オリジナルのソースコードが公開されていないライブラリでも，ソースコードを確認することが可能になる。デバッガは改良されて，エディタ内で変数値の参照やラムダ式の評価が可能になった。もうひとつの注目に値する変更が"Show Referring Objects"操作で，現在注目しているオブジェクトへの参照を持つすべてのオブジェクトを見ることができる。配列やコレクション，弱参照(week reference)なども対象に含まれる。
エディタでは，スマートバックスペースやコードスタイル検出などが改良された。
新機能の"スマートバックスペース"では，バックスペース1回だけで現在の行を揃えることができる。コードスタイル検出が有効になっていれば，タブあるいはスペースの使用の検出やブロックのインデントサイズの推測を行って，デフォルト設定の調整を行う。
Android開発者に対しては，Android WearやTVを含む，Android Studio Betaで導入された拡張や新機能が追加されている。Android Wearに関しては，Tim Mattison氏が記事"Common Android Wear Tasks for Developers"の中で，Android Studioに代えてIntelliJ IDEAの前バージョンを選択しないように警告していたが，そのような議論は，もはやIDEA 14には当てはまらない。
MavenとGradleとの統合が改善されるとともに，GitとMercurialのサポートが追加された。JavaFX Scene Builderがビルトインされて，IDEA内でレイアウトの編集が可能になった。データベースツールも改良され，SQL Server用のWindows認証の組み込みサポートが追加された。新しいナビゲーション操作やテーブルビューの改善も行われている。
DBAとSQL開発者用ツールのJetBrains 0xDBEについては，今年初めにInfoQで報告している。
その他，今回のリリースで注目すべき特徴としては，
- サポート対象フレームワーク用のコード補完が，各フレームワークの最新バージョンに更新された。
- アプリケーションサーバ統合が，その最新バージョンに更新された。
- Thymeleafのコーディング支援が追加された。
- Play 2.xサポートがScalaプラグインに移動し，リファクタリングやsbt，パフォーマンスが向上した。
- React, spy-js, Node.js, Gruntなど，JavaScriptフレームワークのサポート。WebStorm 9に含まれていたものは，すべてIntelliJ IDEA 14に含まれている。
- MeteorとPhoneGap, Cordova, Ionic用の新プラグイン。
- JavaおよびJavaScript用のPostfixコード補完。
JetBrainでは，機能満載の新リリースの詳細を公開するために"What's New"サイトを用意している。
今回のIntelliJ IDEAリリースは，JetBrainsのすべての製品と同様，学生には無償で提供される。開発者はパーソナルライセンスを199ドルで購入するか，あるいは既存バージョンを99ドルでアップグレード可能だ。99ドルのアップグレードは，1年間有効なサブスクリプションになる。
Hacker News上の反応はさまざまだ。学生向けの無償オプションには，ほとんどが満足している。ある開発者はオープンイシューへのリンクを紹介しながら，"IDEAはマルチスレッドのデバッグが酷い"という不満を訴えている。Linux(およびWindows)用のHiDPIサポートが依然として欠落していることにも注意が必要だ。あるコメントにはScalaコードの自動フォーマットに対する不満が述べられていたが，最終的には重要な問題ではないと結論付けられていた。これはスマートバックスペース機能によるもので，Preference > Editor > General > Smart Keys > Backspace smart indentで無効にすることができる。
Redditでの反応は概ね良好で，EclipseからIntelliJ IDEAに切り替えたというものも多かった。JetBrainsでは，IntelliJ IDEA 14の新機能に関するウェビナを2014年11月18日(火)に実施する予定だ。